今回は再びイタリアに戻って、ローマ近郊Tivoliにある"ヴィラ・ハドリアーナ"についてです。
以前のエントリにも登場した"エステ荘"のすぐそばにあり、Tivoliでは2世紀と16世紀の為政者の対照的なヴィラを体験することができます。
"Villa Hadriana"は、その名のとおりローマ皇帝ハドリアヌス帝の別荘です。別荘と言っても都市と言えるほどの壮大な規模のもので、当時のローマの3/4の面積を持っていたとも言われています。"ギリシア劇場"、"海の劇場"、"ギリシア語図書館"、"ホスピタリア"、"宮殿"、"大浴場"などの建築群で、現在のテーマパークのように、地中海・エジプト・ギリシアなど自らが支配した世界各地の縮図を建築的に作り上げたもののようです。
ここはアテネのアクロポリスと並ぶ建築関係者の聖地でもあります。
古くは18世紀に版画家・建築家であるピラネージが銅版画を多数描き、現代でもコルビュジェにはじまり、日本でも磯崎新や安藤忠雄などがインスピレーションの源としました。
この場所ではもはや機能も目的も何も無く、ただただ分厚い壁と石の柱が林立する。これこそが建築の純粋な姿です。
しかし、私がここで感じたのは建築と植物の関わりの理想像であり、ランドスケープデザインの原型のようなものです。