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海のバワホテル2 JETWING LIGHTHOUSE

忙しくしている間にずいぶんと間が空いてしまいましたが、海のバワホテル第2弾は、
スリランカ南端の歴史的な港湾都市ゴール郊外のホテルJETWING LIGHTHOUSEです。
こちらも海のバワホテルの傑作と名高いホテルです。
山のバワホテルKANDALAMAホテルでは、湖やジャングルとの一体感がものすごかったのですが、このJETWING LIGHTHOUSEでは、インド洋との一体感がかつてないほどに強烈でした。


 

ホテルのエントランスをくぐり、階段を上り、メインロビーに出ると、いきなり目の前にインド洋が開けます。
ロビーから海が望めるのは非常によくある海辺のホテルの景観ですが、ここではインド洋の荒々しい波の音がものすごい音響で響き渡っています。




四角い列柱の連なる建物自体は非常に普通なのですが、立地があまりにもただ事ではない雰囲気です。
通常のリゾートホテルのように、リラックスして海を眺める環境とは全く異なり、目の前の岩場に荒々しい波が次々にたたきつけられ、ものすごい水しぶきと共に大音響を立てています。
たまたま海が荒れていたわけでもなさそうで、わざわざ大きな岩場の目の前にロビーが設けられているために、この強烈な景色と音響の迫力が仕組まれているようです。
テラス席では食事もできますが、落ち着くというよりも、海がちょっと恐くなるくらいの大音響です。

 


ホテルの立地はLIGHTHOUSE(灯台)という名のとおり、海に突き出した岩場の突端に位置します。
外観は多くのバワホテルと同様、現地の瓦を葺いた、目立たず風景に溶け込むたたずまいです。
わざわざ荒々しい岩場のすぐ上を選んで立地させたことで、あまりにも印象的なロビー空間となっています。
先のKANDALAMAホテルと同様、立地の選定が、ホテルの特徴を決定的にしています。



JETWING LIGHTHOUSEのもうひとつの大きな特徴は、ランドスケープデザインです。




ロビーから部屋への廊下へ出ると、茶色と白の2重の回廊が続いています。
回廊の茶色と白と芝生の緑、そして大きな岩のコントラストが、まるでデ・キリコの絵のような景観を形成しています。



自然の地形を利用したらしい印象的な芝のマウンドの中庭の周囲には、1階(オープン)、2階(クローズ)、3階(オープン)と、階によって異なる回廊がめぐらされています。
また、芝のマウンドは2階の回廊へと続いています。
全部の階を歩き回ってしまいたくなる、魅力的な回廊です。



回廊の先は、大きなプールです。
ここでもまた印象的な水の色と、エッジの見えないバワプールが広がっています。
どのバワプールもそうですが、なぜこれほど美しい水面となるのか、不思議なくらいです。
水の色に加え、建物の赤い屋根やブルーやベージュ色の柱、熱帯植物の緑が調和して美しい景観です。



プールの見えないエッジの先は、起伏のある地形を利用した階段になっていて、静かに水が流れ落ちます。



さらに進むと、ジグザグのスロープと階段が組み合わさった不思議な階段を下ります。




行き着く先は、さらに広大なプールと、突き当たりに古い民家のように見えるのがスパ施設です。
プールは、泳ぐためというよりも、眺めるために作った水盤に見えるほどの美しさです。
スパ施設の両側背後に伸びた2本のヤシノ木も、スパ施設の求心性を高めるために仕組まれているようです。
ホテルの建物、プール、地形、植物を一度にデザインしているからこそできる景観です。




スパ施設では、バワの住宅で見られる親密な現地様式の空間が体験できます。



中庭の水盤にはこんこんと水が沸いています。



バワの住宅の多くで見られた、屋外とも屋内ともつかぬ静かな空間です。



スパの専用バスも、バワプールと同じ水の色です。
この施設で受けるアーユルヴェーダは、あまりにも贅沢なリラクゼーションです。



ロビー2階にも水盤のまわりに回廊が巡り、ホテル内を歩き回ると大小様々な表情の印象的な水盤と回廊空間に出会います。
夜には真っ暗な水面に照明の光が揺らぎ、幻想的な空間となります。



ホテルの部屋は非常にシンプルですが、水色のよろい戸で縁取られ、奥まった窓が印象的です。



右の窓はデスクと一体となり、日がな一日机に座って正面に広がる海を眺めていても飽きなさそうです。
斜めに奥まって額縁のようになった壁面が外の景色を強調する、非常に美しい印象的な窓まわりです。



振り返ると広い水周りが引き戸に隠されています。
ベッドの背や水まわり天井の格子、また引き戸まわりのディテールからは、日本的な雰囲気を感じさせます。





JETWING LIGHTHOUSEは、山のKANDALAMA HOTELと並び、バワの最高傑作の一つと呼ばれるホテルです。



しかし建物もインテリアも非常にシンプルで、特別な個性も何も感じさせないほどなのですが、インド洋の荒々しさと、正反対の大小さまざまなプールの美しさが印象に強く残るホテルでした。



写真で見てもその良さは全くわからないのですが、現地で滞在してホテルや周辺環境全体を体感すると、紛れも無く傑作の一つであると感じられます。
それがバワ建築独特の魔法のような魅力なのでしょう。

ホテルの立地の選定・建物・インテリア・プール・地形・植物等を一体的に全部デザインしていることが、このホテルを特別に質の高い環境にしています。



ここでは、特別なものは何もないのに、自然との一体感を強烈に感じ、心も体も心底リラックスできる感覚が得られます。
それこそが環境全体をデザインすることによって、バワが目指していた空間の質の高さのようです。
他ではほとんど体験することのできない、自然と、建築と、人間が一体となっている感覚です。

バワ建築の体感が、スリランカという国自体の強烈な印象として記憶に残る、最高のリゾート地です。
メキシコと並び、生涯に何度でも訪れてみたい場所の一つとなってしまいました。

ぜひ訪れてみてください。

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