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海のバワホテル1 HERITANCE AHUNGALLA

次のバワホテルシリーズは、海のバワホテル"HERITANCE AHUNGALLA"です。
スリランカの中心都市コロンボと南端のゴールの間にはビーチリゾートが目白押しで、数多くのバワリゾートも残されています。
なかでも名作と名高いヘリタンス・アフンガラを訪れてきました。
このホテルは、プールの美しさと、建物内外のあちこちに持ち込まれた熱帯植物と、特に色とりどりの"柱"が特徴的なホテルです。

 

 

ホテルの前庭では、ジャングルに囲まれた広大な水面に浮かぶヤシの木が出迎えます。



屋内とも屋外ともつかぬ天井の高い広大なロビーに入ると、たくさんの列柱が目に入ります。



さらにロビーを抜けると、正面にプールと海を臨む、左右対称の求心的な構成です。
奥深く林立する柱の向こうに、プールと、はるか遠くにインド洋が望めます。
このロビー空間がヘリタンス・アフンガラホテルの最大の見所です。



多くのバワホテルでは、プールの特別な"青さ"や美しさが極めて印象的なのですが、さらにHERITANCE AHUNGALLAでは、プールの水面が室内に入り込んできています。
遠くに見えるインド洋の実際の海の色はそれほど透明度が高くなく、波も高いので非常に荒々しいものなのですが、手前にあるプールの底に貼られた独特なタイルの色彩が水の色となり、プールの静水面が非常に美しく印象に残る色をして異常な輝き放ち海のイメージと一体となって見所となっています。
ホテルの最大の見所が"水面の輝き"であるというのは、非常に珍しい建築物です。



プールの水面が遠くのインド洋の水面と溶け合っています。
視線の先、中心のアイストップには、遠めにも特徴的なベンチが置かれています。



また、このホテルで特筆すべきなのは、林立する柱の"細さ"と"色"です。
柱が空間を特徴づけているのです。



室内の暗く陰になる部分の柱はクリームイエロー、外部に近づくとモスグリーン、さらに外側にブラック、また特徴を持たせたい部分には赤茶色に柱がペイントされています。
この少し様式の付いたカラフルな柱が、エレガントさやかわいさ、親しみやすさ、居心地の良さなどの空間の雰囲気をかもし出し、特徴的な空間を生み出しています。
どこを写真に撮っても、どの方向を見ても絵になるのです。



きっと柱が普通の四角い太くて白い柱だったら、印象に残らない普通の感じのホテルだったことでしょう。

モスグリーンは植物の緑色、赤茶色は現地の土の色、クリームイエローは光り輝くヤシの木の色など、自然界の色彩と対応しているようです。
柱の太さは外のヤシの木の幹の太さに近い印象です。
そのせいか、人工的なホテルの内部にも植物や水・土などの自然の要素や色彩が持ち込まれ、外部のリアルな自然が建物内部にも溶け込んでいます。

ロビーの壁面には、大きな植物の絵がモノクロームで描かれています。



現地の植物に特に着目して表現したホテルのようです。自然の賛歌。



ホテルの内部を回遊してみると、立体的な回廊と中庭がホテルの隅々まで巡っています。
下の写真は、1階レベルの回廊で、植物の深い緑色と、土と同色に塗られた柱のコントラスト、また突き当たりの壁の黄色が印象的です。
左手には、中2階レベルに作られた庭が壁の隙間からのぞいています。



下の写真は同じ場所の2階レベルの回廊ですが、庭も立体的につくられていて、1階で木の幹が見え、2階レベルで葉が茂り、さらに中2階と2階にも地面があって熱帯植物が植えられ、3階で上から見下ろせるようになっています。
2階の眺めでは、1階からの樹木と、中2階、さらに2階レベルに植えられた樹木の眺めが混在しています。



下の写真は3階の回廊の眺め。木の最上部がのぞいています。



このような立体的な中庭が回廊を巡ると次々に現れ、外部と内部が混ざり合い、庭ごとに異なる植物を眺められるようになっています。
建物の回廊で囲い込まれ、切り取られた植物は、ジャングルの中で見る群落としての植物よりも、人工物を背景としているためか、一本一本の姿形が印象的に感じられます。




蔓植物の庭や、マングローブ類の庭も。

 

ホテルというよりも、ほとんど立体植物園とも言える様相です。



こちらはただの立体回廊を上下につなぐ中庭の階段なのですが、緑につつまれたの神殿のような空間となっています。



熱帯のグランドカバー植物のみの庭。



上空から見ると、出っ張り引っ込みながら長く伸びた建物の姿にたくさんの中庭が見え、日本の寝殿造りに似た建物の構成となっています。
自然を取り込む建築の形は、文化や歴史が異なっても似てくるのかもしれません。



ホテルの外側に目を向けてみると、多くのバワホテル同様、現地様式の瓦屋根の民家を大きくしたような何気ないたたずまいですが、外壁が微妙な色に塗り分けられています。



低層部分は黄色と緑の間くらいの微妙な色で、3階がブルーグレー、壁の置くは真っ白に塗り分けられていて、外部の木々の深い緑や芝生の明るい緑、水面のブルーと溶け込んで調和しています。



迷宮状の回廊をさまよい、またロビーの列柱に戻ってくると、またいつまでもそこで佇んでいたくなってしまします。



山のバワホテルKANDALAMA HOTELと同様にこのHERITANCE AFUNGALLAでも、建物自体には特に目だった特長は持たせず、一方で建物内に自然の要素を取り込み、自然と建物の境界をあいまいにして、水や動植物などの周辺の自然環境が強烈に感じられるように仕組まれています。

絶妙な自然と人工の間のバランス感覚と、その結果もたらされる自然との一体感や心地良さこそが、バワホテルが世界中で愛されている理由なのでしょう。



ヘリタンス アフンガラ
http://www.heritancehotels.com/ahungalla/

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