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ヨットと建築1

初めてヨットに乗りました!
もういつの間にやら冬の気配が漂って季節はずれではありますが、夏の思い出の投稿です。
今年の夏休みは、沖縄の西表島で数日間過ごしました。その際、ヨット上で1日を過ごしながらいくつかのポイントを巡る、シュノーケリングツアーに参加しました。
私は、普段の生活では趣味と仕事が一致しているせいもあってかなりインドア派で、海だのヨットだのとは縁遠い人生を送ってまいりました。
しかしヨットでのシュノーケリングツアーを一度体験してみると、あまりの気持ちよさと、その美しさにしびれ、思わず「いつか欲しい!」と思ってしまいました。
ヨットと海など、遠い世界の出来事だと思っておりました。
ヨットのデザインは、古今東西多くのデザイナーにとってインスピレーションの源となってきました。
建築の世界でも同様です。
あのコルビュジェもノーマン・フォスターも、最近では東京オリンピックの国立競技場コンペに勝利したザハ・ハディドに至るまで、昔から建築家は船やヨットの造形や機能性に憧れ、自身の建築表現に取り入れてきたのです。
 
初めて間近で見るヨットの姿は、衝撃的に美しいものでした。

一口にヨットと言ってもさまざまなものがあるようですが、今回のヨットは、中心のキャビンの両側に胴体が二つ並んでくっついている、"カラマラン"(双胴艇)と呼ばれる形のクルーザーでした。
フランス製(?)らしいです。
 
中心にはリビングルームのようなキャビンがあり、両側2つの胴体の部分の中にベッドルームとトイレが収まっています。一戸建て住宅を非常にコンパクトにしたような規模のものです。
2つの胴体の部分の最後尾の部分は、水面へ降りる階段となっており、2つの船の間には小さなボートも格納されています。

 
男性にしかわからないかもしれませんが、ヨットの後姿はまさに、ガンダムの「ホワイトベース」ではないですか!
まだ帆は畳まれていますが、この後ろ姿だけでも、乗り物としての魅力が満載です。
宇宙へと飛び立つこともできそうな外観で、夢がふくらんでしまいます。
この後姿だけで興奮できるのは、男性だけでしょうか?
後部に吊るされている小さなボートも、宇宙船に積まれた小型艇のようで、夢が広がります。




2つの胴体の間のリビングルームが収まる部分の屋根は流線型のドーム型の形状をしていて、屋根の上に座ったり寝転んだりしても気持ちの良いかたちをしています。
何か飛行機の上や、クジラやイルカの背に乗って進むような、最高の気持ち良さです。
(どちらも乗ったことはありませんが・・・。)

海の生き物のような、流線型のフォルムが非常に美しい・・・。





前方2つの胴体の間には樹脂製のネットが張ってあり、トランポリンのようになっているのですが、ヨットが進むとネットの下から風が通り抜けて最高の涼しさで、寝そべると巨大なハンモック状態で、ここも最高の場所です。
ヨット上には、いくつも”最高!”な場所があるのです。



次は後方に行きますと、テントの下は運転席とテーブル席です。
典型的な円形の舵とアクセルのレバーは、これまた男の子には夢の広がる部分です。エンジンは当初はVOLVO製だったようですが、故障したためか日本製に乗せかえられたそうです。
やはりここでも機械は日本製のほうが信頼性は高いようです。



テントの下には、非常にコンパクトな木製のテーブルの周りをベンチがぐるりと取り囲み、人の集まる求心的なダイニングスペースを生み出していますが、
ベンチは一段高い位置にある周囲の通路に上がる階段の役割も果たしています。
ヨット上のあらゆる部分が通路とベンチを兼ねていて、地面や芝生の形状をデザインするような、どこかランドスケープデザインにつながる造形美を持っています。

鋭角な円弧状の通路の段差も美しいのですが、脇に見える黒いガラスのハッチは、下のベッドルームのトップライトです。



また、縄をかける金具や、ワイヤーの手すりの支柱など、何でもない部分も流線型のデザインが施され、非常に美しいディテールとなっています。
これも海の中の生物のようなやわらかい形です。



ヨット全体の美しさばかりでなく、ここまでやるか!という微細な部分にまで、デザインが行き届いていて驚きます。
ディテールを眺めているだけでも退屈しません。
手すりワイヤーの支柱も、ただの柱を立てるのではなく、お箸のように尖らせて、トップにボリューム感のある丸い穴をのせた、金属を削り出したかのような魅力的な造形です。



さて、いよいよヨットの醍醐味、帆が張られます。



小さな子供たちに協力してもらって帆を上げます。



帆が張られると、子供たちばかりでなく、大人全員も、素直に「わーい!!」「やったー!!」という気持ちになってしまいます。すっかり子供に戻ってしまいました。
こんなに素直にわくわくする気持ちは久しぶりです。

マストに帆が張られた姿は、わかりきっていることですが、実際に目にすると何と美しい姿でしょうか。しびれます。
風を受けて進む、という原始的な機能の美しさとロマンに、感動すら覚えます。
オートバイに乗ってエンジンを吹かして猛烈な風を受けて進む際の、極めて原始的な喜びにも似ています。


ヨットが美しいばかりでなく、もちろん海も、空も、緑も、とりわけ海中には言うまでも無く夢のように美しいサンゴ礁の世界が広がっているのですが、ヨット自体にも夢中になってしまいました。

いまさらですが、沖縄最高!

楽園は、ヨットの上にもありました・・・。
ヨット上の美しい全ての部分が、近現代の建築表現でも見たことがあります。マストに張られた帆のイメージは横浜のホテルや、世界各地のビルのインスピレーションとなっていますし、ドーム状の屋根の下の空間も、著名建築家の空間に取り入れられています。
コルビュジェの集合住宅などは、ダイレクトに客船のイメージを取り入れたものです。
流線型の空間は、最近のザハ・ハディド作品のインテリアそのものです。
しかしやはり、建築に取り入れられたヨットや船のイメージでは、純粋なヨットそのものの美しさや気持ち良さには到底かなわないようです。
ヨットの魅力は、まだまだ次回に続きます。


 

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