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照明のチカラ その3

照明シリーズ第3弾は、旅先で見つけた光についてです。

私が理想とする光は、いつも旅先にあります。
見返してみると、自分の設計する住宅の照明の明るさや配置方法は、どうやら旅先で体験した光にかなり影響を受けているようです。
各地で見つけた魅力的な光をいくつか紹介したいと思います。



こちらはメキシコのホテルですが、ここも昼間でこの暗さ。
夏の熱射をさえぎるため、ほとんど光を入れないようになっています。

そのため昼でも照明が常に必要な状態ですが、夜と同様に魅力的な効果をもたらしています。
窓もここまで小さく絞ると、暗闇に輝く照明のような効果となります。
もしかしたら欧米の空間の魅力は、窓があまりにも小さいことで光の印象が強まることによってもたらされるものなのかもしれません。


形のおもしろい3つのライトがリズミカルで幻想的な空間を生んでいます。
壁に塗られた緑色が輝いて、空間もほんのり緑色に染めています。
色と光の組み合わせも、空間の魅力を相乗効果で高めてくれます。


暗闇の向こうに黄金の明かりが輝き、誘うようです。


主に上部を照らす、間接照明のようなやわらかな光。


タイルは黄色がかっていて、黄金の空間となります。



次はモロッコのホテルREDUCTのダイニング。真昼間なのに、この暗さです。
しかも照明はテーブルライトたったひとつです。
赤いファブリックに反射して、独特の赤い空間となっています。
色のついた光の空間は、日本ではなかなかない空間なので非常に印象的です。


下は夜のダイニング。
シャンデリアの光が黄金色の装飾に反射して部屋全体が黄金色に輝いています。


天井の高いデコラティブな空間に、シャンデリアが良く似合います。


薄暗いからこそ、濃密な装飾や強烈な色が凄みをもっているようです。





次はパリのアパルトマンの屋根裏部屋ですが、インテリアデザイナーの住まいであるため、非常に照明が参考になります。


リビングの照明は床を照らすアンティークのデスクライトと、壁沿いにぶら下がった、手作りの縦長のペンダントライトのみです。

部屋の真ん中で、デスクライトで床を照らしてしまうというのは、なかなかできない照明方法です。
天井ではなく床が明るいのは通常の照明方法の反対なためか、非常に印象的な空間になります。
屋根裏部屋のために天井は極めて低いのですが、床を照らすことで視線が下を向き、むしろ部屋を広く見せています。


どうやら普通のペンダントライトに長い紙が巻いてあるようです。
ソファーの向こうにもテーブルランプが見えますが、これだけ広い空間にわずか3灯の光のみです。
そのため陰影が非常に強く、空間に落ち着きと奥行きをもたらしています。
薄暗いため、暖炉をつけると非常に炎の明るさが強調され、あたたかさを強く感じます。


こちらは仕事部屋のようですが、デスクライトはあさっての方向を照らして間接照明としています。


寝室もわずかに床に置いた光のみで、非常に落ち着きます。



こちらは箱根The Princeの部屋。
存在感のあるスタンドライトとベッドサイドの読書灯に全体はダウンライトで、シーンに合わせて明るさを調節できます。


洗面空間は、狭いながらもやわらかく広がる光で魅力的なコーナーとなっています。


ここは吉祥寺井の頭公園脇の喫茶店Donatello'sのお気に入りの席の照明。(残念ながら最近閉店しましたが・・・。)
大好きな照明器具の一つです。
LIMBURG社のテーブルライト。ドイツの高品質ガラス照明メーカーのものです。
この照明一つでコーナーの空間をすばらしい居場所にしています。


メキシコの光は、わずかな照明と、壁に塗られた鮮烈な色と、ろうそくの炎で、夢の中のような幻想的な雰囲気をかもし出していました。


壁のオレンジ色と回廊の炎のような形の装飾が、シャンデリアの光で浮かび上がります。
対照的に中庭側には夕暮れ時の青い光が天窓からわずかに差し込んでいます。


天井を照らした照明が円形の開口部を強調し、さらに手前の池に映りこんで非常に魅力的な空間を生み出しています。


これら各地の光に共通するのは、やはり暗闇の深さと、暗闇にに灯される光の魅力と安らぎです。

日本でもかつては、夜はわずかな行灯の光しかなく、暗闇とわずかな光だまりが夜の居場所をつくり出していました。
現在の日本ではほとんど失われてしまった、暗闇の奥深さと、暗闇に照らされる灯りのやすらぎは、現代でも照明のデザインによって取り戻すことができます。

かつて持っていた暗闇のやすらぎや奥深さを、現代の暮らしの中でも取り戻してみませんか?


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