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照明のチカラ その2

照明の続きです。
前回は主に特徴のある照明器具についてでしたが、今回は照明器具は見えないけれど居心地の良い空間をつくる光についてです。
設計した住宅の中からいくつか例を挙げながら紹介したいと思います。

私が考える居心地の良い場所をつくる照明の方法は、「全体は薄暗くして必要な部分だけ明るくする」という単純なことです。

人間は夜、薄暗い空間での少しの明かりだまりに寄り添う時、非常に心が落ち着きます。
屋外でのキャンプファイヤーや、暗闇のキャンドルが妙に落ち着くのと同じです。暗い空間にわずかな火を灯すことしかできなかった時代の人間の記憶でしょうか。

照明も同じで、暗い空間に光を灯している感覚を得られると、非常に心の落ち着く空間になるのです。
暗いけれども必要なものはしっかりと見えていることも、安心感を得る重要な条件の一つです。


逆に真っ白い光で煌々と部屋全体を照らす日本中どこにでもある一般的な光は、真昼と同じ状態を室内に作り出すもので、昼間と同じアクティブな心持ちとなります。
夜も昼と同様に活動し続けるには良いのですが、人間本来の時間のリズムは狂わされてしまい、不眠や自律神経の不調を誘発することは、良く知られています。


ストレスの多い現代の住宅でこそ、光と影のある空間が必要です。

 
空間は、光と影のコントラストを強くすると、非常に奥行きのある空間に感じられます。
たとえば隣り合った部屋同士では、片側の部屋を暗くし、明るい部屋から漏れる光を間接照明として使うと、魅力的な空間が生まれます。


ダイニングでは周囲をやや暗めにし、食卓だけを明るくすることで求心的な空間が生まれ、料理も美しく輝きます。


壁面に設置したスポットライトは、天井を照らせば間接照明としてやわらかな光を広げてくれます。


また、額縁などの対象物を照らせば美術館のような光になるため、重宝します。

 

ハロゲン球のスポットライトは明るさが集約して、照らした部分だけが明るく輝きます。
照らされたものの色が最も美しく見える光であるため、レストランやアパレルショップで多用されています。
住宅でも用いると、家庭での食卓がレストラン並みの美しさになる上、光源がキラキラと光るため、華やかさももたらしてくれます。
夜間は真っ黒に見える窓に反射する光も美しいものです。


洗面所は、鏡の反射や隣の浴室の灯りも利用して明るくします。


屋外では特に、暗闇が圧倒的に広い分照明が大きな効果を持ちます。
暗闇の中に下からの白い光でゲートが浮かび上がり、目を引きます。


ゲートの向こうには、あたたかな光で足元だけを照らした通路がやさしく迎えてくれます。


照明は、昼間の明るい空間とは全く異なる、魅力的な空間を生み出してくれます。

特に住空間では、照明によってあたたかさややすらぎを感じられる空間を生み出すことを目指しています。


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