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耐震診断と耐震改修

私の仕事は新築住宅の設計とランドスケープデザインが多いのですが、最近、耐震診断と耐震改修にも力を注いでいます。

きっかけは国分寺市で耐震診断士の募集をしていたことだったのですが、始めてみるとなかなかにやり甲斐のある活動でした。

国分寺市は、地元の建築士と工務店が地域の住宅を改修する仕組みによって、信頼できる耐震改修の促進をめざす、地元地域主体の耐震診断士の派遣事業を始めました。
"地域の地域による地域のための活動"とも呼べる、純粋に地元地域に絞っての耐震事業は、全国的にもまだ珍しい試みです。

1軒の耐震改修を行うと、大震災時にも倒壊する可能性が極めて低くなるということで、直接人命を守ることにつながります。
そればかりでなく、家が倒壊した場合の火災の発生や、倒れた家屋が道路を塞いでしまうことで救助活動が困難になることを防ぐことで、地域を守ることにもつながります。
1軒1軒の耐震改修は、1歩づつではありますが、確実に地域のためにもなっていきます。


さらに、市内の耐震診断士が集まってつくられた、"診断士会"の運営にも関わらせていただいています。

ほとんどがボランティアの活動なので、初めの内はおそるおそる足を踏み出す感覚でしたが、現在では新築住宅の仕事とは少し異なる"やりがい"のようなものを感じ始めています。


主な活動は耐震技術のスキルアップと、普及啓発活動です。


普及啓発活動では、町内会単位で”地域耐震講習会”を行っています。
講習会の内容は、直近に想定されている首都直下地震の話や、耐震診断・耐震改修とは実際にどのように行われるのか、という話が中心です。

これらの話題を通じ、耐震の必要性を市民ひとりひとりに理解してもらうことから、1軒でも多くの方に耐震改修を行ってもらいたいという目的で、「国分寺市」と「NPO法人まちづくりセンター」と「耐震診断士会」が協同で行っている活動です。

実際にはボランティアに近い活動で、講師となると毎回の準備もなかなか大変なのですが、毎回50〜80人もの大勢の方に集まっていただき、終わってみると何かすがすがしい気持ちが残ります。


このような"やり甲斐"は、普段行っている新築物件の設計で得られるものとはかなり異なる種類のものです。

普段行っている新築住宅の設計は、機能性も美しさも構造も快適さも含めた、あらゆる意味での"デザイン"の仕事です。
通常のハウスメーカーや建売住宅で飽き足らないクライアントのために、それ以上の良い家や異なる価値を持った家を求めて行うもので、謂わば普通の家プラスアルファの「より良い家」を求める行為です。
クライアント独自の家ができたときの満足感と喜びは非常に大きいものです。

一方、耐震診断はデザイン活動とも異なりますし、補強しても多くの場合壁の中に隠れてしまう、構造設計を主体とした技術的な作業です。
どちらかと言えばマイナスからプラスマイナスゼロに引き上げる、非常に地味で渋い活動かと考えられます。

しかしこの地味とも思える活動には、医者が病気の人の痛みを取るような、弁護士がどうしようもなく困った人を助けるような、また介護士が年老いた方の手助けをするような、純粋に"誰かのためになる"仕事の喜びがあるのです。

昨今流行のソーシャルビジネスなどと言わなくとも、本来建設業が持つ、社会をつくり上げる使命感のようなものを感じられます。





昨年被災地を訪れてから、何もできない自分に何かもやもやとした心持ちでいましたが、今後は身近で自分が今持つ技術を生かしてできること、地域の役に立つことにも力を注いでゆくことにしました。


国分寺市耐震診断士会

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