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ニューヨーク その1

もうすっかり夏真っ盛りですが、昨冬ニューヨークに行ってきました。
行ってみたいと思いつつも、やはり伝統の長いヨーロッパや行きやすいアジアを訪れることが多く、いつも後回しになっていました。
念願のニューヨーク、まずは名所巡りです。



マンハッタンには、20世紀建築の代表作が目白押しです。
まさに近現代建築の博物館。
街中を少し歩けば、古いものも新しいものも、あ、あれはあの有名な建物だ、ここはあの映画でみたあの場所か、というものばかりです。あまりにも著名なものが多すぎて、すべて見ることはとても不可能なほどです。

最も見てみたかったのは、クライスラービル。
(とグッゲンハイムですが、グッゲンハイムは展示替えで工事中でした・・・)


その姿は写真で見るほど近くで見られないので、外観はやはり夜景が最もきれいです。
東京にもビルは数あれど、東京のアイコンとなるビルは一つもありません。


インテリアからは当時のアメリカのギラギラとした「富」や「勢い」、「新しい表現の実現」といったエネルギーをひしひしと感じます。


対してエンパイアステートビルはその高さで観光地としても有名ですが、「建築」としてはそれほど注目されていません。しかし内部のギラギラしたゴージャスさには、今更ですが驚きました。まさに富の象徴。
このような金銭的な豊かさをストレートに建物やインテリアに反映するセンスは、中国でよく感じたり要求されるものと同じ種類のものです。


建物やランドスケープを設計していると、彼らは「よりゴージャスにしてくれ」と繰り返し要求します。豊かさを感じたいのだと。
日本人の感覚からするとゴージャスさというのはやや下品に感じてしまい、何か体内の感覚として無いものなのでいつも苦労していたのですが、ようやく彼らの要求を理解できた気がします。
ニューヨークには彼らの求める世界があります。



名作建築の中で印象に残ったのはシーグラムビル。
何と言うことも無い普通のビルに見えるかもしれませんが、20世紀最高の建築に挙げられることも多い建物です。


確かに現代建築のすべての要素が詰まっています。
現代建築の始祖ミース・ファン・デル・ローエの設計。かのコルビュジェとミースで現代建築の起源はすべて創造されたと言っても過言ではないかもしれません。

実際に訪れると、研ぎ澄まされた素材感がすごいです。
材料の素材感がむき出しで、最も純粋な形で存在している、といった感覚です。


窓ガラスさえもが、ブロンズ色の独特の存在感を放ちます。
敷地境界には、すさまじい大きさのオニキスの塊。


ニューヨークには、20世紀建築のすべてがここにあると言っても過言ではありません。
20世紀を通じて近現代建築が追い求めたインターナショナルスタイルや機能主義といった規範の粋が見られます。

建築に関わるからにはもっと早く来るべきでした。
学校で何を教わるよりも、近代建築の歴史が実感できます。
いくら写真集を眺めても無駄でした。
20世紀の建築の教科書は、ニューヨークそのものです。



配偶者が美術の仕事をしているため、旅先では必ずミュージアム巡りです。
Metropolitan Museum of Artの見ごたえは言わずもがなです。
世界の芸術の全てをニューヨークに集めようとしているのではないかという作品数と幅の広さに圧倒されました。


印象に残ったのは、Neur galeryとThe Flick Collectionです。
Neue Galeryはオーストリアのアートコレクターの小さな美術館です。
大富豪の邸宅といった雰囲気の建物で、ここでクリムトの作品の実物を初めて見ましたが、やはり真っ白い現代建築の美術館ではなくこのような環境に展示するのがあまりにも似つかわしく、強く印象に残りました。



館内のカフェ・サバスキーもオーストリアの本物のカフェをニューヨークに移築したような雰囲気で、これこそ美術を鑑賞するのにふさわしい最高の環境です。


一方こちらは本物の大富豪の邸宅に集められた The Flick Collection 。(下写真)
フェルメールがいくつも常設で見られます。建物も本当に大きな石を積み上げて造られていて、日本人から見ると現代でもこんな建物が造れるのかと驚嘆します。
なんと贅沢な。
これが個人の邸宅とコレクションだったのかと思うと驚くばかりですが、アメリカ人富裕層の夢の姿なのかもしれません。
莫大なお金を手にしても庶民の想像力の範囲内では使い道なんてそれほど無いような気もしますが、このようなお金の使い道ならば夢がありますね。
いくらお金があっても足りませんが。


新しくなったMOMAも訪れましたが、やはり新しいものにはそれほど心が動きませんでした。現代美術も現代建築も大好きなのですが、歴史あるものがあまりにもすごすぎます。
Metropolitan Museum、Neue Galery やThe Frick Collectionを見た後では、現代建築と現代アートの空間はどうしても物足りなく感じてしまいます。時間の奥行きが違いすぎます。


現代美術はむしろチェルシーのアートギャラリーのほうが、"生きている"現代アート空間のためか、非常に印象に残りました。


チェルシーのいくつかのギャラリーでは、アートと建築と街並みと、さらに見る人、作る人の関係を強く実感でき、現代アートが非常に日常的で身近なものに感じられます。
すぐそこに作ってる人がいるような、リアルな感覚です。
ギャラリーを訪れる人の多さにも驚かされます。カップルがデートでぶらりと来るような場所でもあるようです。


夜はリンカーンセンターでバレエ鑑賞。
バレエを見に来たのですが、ここにも名作建築ばかりが・・・。キリがありません。




ニューヨークでアメリカ人のチカラと歴史を思い知りました。その富の莫大さや、夢や理想、チャレンジする精神、世界を我がものとするイメージ、勢い、いずれも現在の日本人に不足しがちなものです。

彼らの時代ごとの夢や理想の姿が具体的に実現されてニューヨークの姿と言う形で蓄積されていることが、あまりにもすばらしいです。

彼らがニューヨークこそが世界の中心であると考えてもおかしくはないかもしれません。
現在のアメリカのイメージや政治的な背景は複雑なものとなっていますが、建築やランドスケープの文化を見るとあまりにも偉大です。
まだまだアメリカから学ぶことは多そうです。


 

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