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中国の(高級)住宅事情

最近仕事で北京に通っています。
私は中国でマンションや別荘の設計に関わることがあるのですが、日本の住宅事情とは異なる部分が多く、それぞれの国の人々の価値観や夢の姿が垣間見えておもしろいので少し紹介してみたいと思います。北京郊外の高級住宅のショールームです。

まず日本の住宅と中国の住宅の最も大きな違いは、当然と言えば当然ですが「大きさ」です。
中国で我々外国人が設計するマンションや別荘はやはり高級な物件ばかりなのですが、いくら高級でも大きさが桁違いです。
200〜300屬らいだとまあ普通くらいなのですが、驚くのは一戸あたり500〜1,000屬らいの物件が結構あることです。まさに日本の住宅とは文字通り一桁違いますね。
面積が数百屬△襪函各部屋を大きくするくらいでは面積が埋まりません。日本人にとっては一体何に面積を使えばよいのか戸惑うほどの広さです。
しかしクライアント側の要望を聞いてみると、たしかに200〜300屬世箸舛腓辰閥垢い福ΑΑΔ箸いΥ恭个砲覆辰討ます。

500屬らいの高級戸建ての場合を見てみます。インテリアは西洋風のタイプです。
まず、玄関を入ると書斎か応接室のような小部屋があり、その奥には「来客用」のリビングルームが広がります。当然家族も使う空間ですが、「メイン」リビングと言えるような場所です。


吹き抜けにはシャンデリア。


見せるためだけの暖炉。


リビングに隣接して「ダイニング」と「メインキッチン」があります。


メインキッチンは2つの部分に分かれています。西洋式のオープンキッチンと、中国式のクローズなキッチンです。
まずはオープンなキッチンです。調理するというよりはバーカウンターに近い用途かと思います。接客用でしょうか。奥に見えるのが「調理する」キッチン。


中国でも日本や欧米と同様、対面式やアイランド型のキッチンが人気なのですが、一方家庭では必ず中華料理を毎日調理するので、オープンキッチンでは煙や油が部屋中に広がって都合が悪いようです。そこでもうひとつ中国式のクローズなタイプのキッチンが必要になるということで、2つのキッチンが並べて設置される場合が多いようです。
下の写真がクローズタイプのキッチン。広いです。


2階に行くと今度は家族用の「サブリビング」があります。隣接して「サブキッチン」が造られる場合もあります。こちらは日本人が通常イメージするところのリビングルームで、家族のプライベート空間です。


あとは2階には2部屋の個室と、共用のトイレ・バスがあります。さらにそれぞれの個室にはトイレとバスルームとウォークインクローゼットが付属していて、高級ホテルの一室のような設備が備えられます。


コンパクト(?)な個人用バスルーム。


さて、次は3階ですが、3階はメインベッドルームのみです。メインベッドルームはイメージ通り夫婦の寝室でしょうけども、この部分だけで日本の住宅一件分くらいの広さがあります。「ベッドルーム」と「書斎」と「夫婦のリビング」と「バスルーム」全部で「メインベッドルーム」となります。


まず、ベッドは縦よりも幅のほうが長い、キングサイズよりも上の巨大なものが当然置いてあり、ベッドルームでも豪華なシャンデリアがぶら下がっています。間接照明は華やかさを増すためのおまけ程度の用途です。
ベッドの裏手は書斎コーナーです。膨大な書籍が収納(展示)でき、社長室のような雰囲気です。


さて、圧巻はバスルームです。バスルームは「洗面とトイレ」、「バスタブとシャワー」、「クローゼット」と大きく分けると3つのエリアに分かれています。
洗面器は一人一つづつ。


シャワーとトイレはガラス張りで分かれています。


別のタイプの浴槽部分。


クローゼットは15屐複絃)くらいあって、夫婦の衣服がしまい、着替え、化粧をすることができます。小さいブランド店のような雰囲気です。実際に様々なブランド品が「陳列」されることになるのでしょう。これが本当のウォークインクローゼットです。日本でよく作られるウォークインクローゼットは「倉庫」で、本来の欧米のウォークインクローゼットとは、着替え・化粧ができる部屋のことです。



さて、あとは地下ですが、地下には大抵大きな空間が取られ、ワインバーと娯楽室となっている場合が多いです。娯楽室はビリヤードと超大画面テレビとオーディオが標準的でしょうか。マージャン卓やルームランナーなどの健康器具が置かれる場合も多いようです。
ビリヤード台と奥にバーカウンター、さらに奥には第3のリビングが。


あと最近人気なのはSPAのようです。地上部分にも各部屋にバスがありましたが、客用のスパを地下に設置する場合が多いようです。豪華なジャグジーとサウナが設置され、リゾートホテルのような雰囲気です・・・。




本物の手仕事のガラスモザイク。


以上が「建売」の高級戸建て住宅の「標準的な」プランです。(豪華さは標準的ではない)
西洋人と東洋人の求めるスペースを「全て」盛り込んだ空間となっていますね。
おそらくもっとお金持ちは自分で設計者を雇って好きな家を建てるのでしょう。

外ではテラスでバーベキューができます。


さて、住宅の「大きさ」の次に日本人にとって驚きなのは、「高級さ」の表現です。
中国では人生において最も大事なものは「お金」であると多くの人が語ります。
住まいにおいても「贅沢さ」を強く感じさせることが最も重要であるとクライアントからも繰り返し聞かされました。
それにしてもあまりに贅沢さに驚かされます。
すべての部屋にシャンデリアがぶら下がっています。どの部屋もキラキラ・・・というよりもギラギラしています。
下は現代中国式タイプのインテリア。


日本では高級になればなるほど、住宅でも商業地でも環境はミニマムでシンプルになる場合が多いです。狭苦しくごたごたした街中から隔絶した環境が求められるためか、用の美やシンプルさを好む日本古来の芸術の真髄の価値観によるものかわかりませんが、中国とは正反対な「高級さ」の表現ですね。
また、「収納」についてはキッチン・洗面やクローゼットと本棚以外にはほとんど存在しません。多くの日本人が好む、押入れ等の「雑多な収納」というのはあまり必要としていないようです。それぞれのスペースに十分な余裕があるせいでしょうか。


中国風の丸い出入口。中国風ですがモダンにデザインされています。調度品もさりげなく中国風。


見慣れるとこのような住まいも「普通」に感じられてくるところが人間の不思議なところです。ただ豪華なだけでは全く驚かなくなります。似たような雰囲気ばかりだと退屈になったり、もっと工夫がほしいな・・・、もっと洗練された雰囲気にすればよいのに・・・など無限に欲張りになってしまいます。
自分が購入する家としてはなかなか考えられませんが。

下はモダンなタイプの住戸です。
これぐらいのほうが日本人には好まれるのではないでしょうか。中国では地味めかと思います。
壁面にはオニキスが貼ってあります。(当然全て本物の石です。日本と違ってニセモノは一つもありません。キッチンや洗面器具等も全て欧米からの輸入品で本物。ファブリックも極上のものばかりです。)


シャンデリアが非常に興味深いつくりをしています。ミラーボールを1つづつ糸で吊るし、はるか上部から照射しています。


このような高級感だと日本でも見慣れた(?)雰囲気ですね。


あまりの豪華さに、ため息が出るほどです。
中国では商業空間や住宅の華美さに驚かされることが多く、興味は尽きません。
日本の住宅と比較すると、あまりの違いにむしろ日本の標準的な住宅のほうが不思議なものに見えてきたりもします。
中国と日本の「理想の住宅」の違いについて考えさせられました。


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