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ザ・プリンス箱根

日本国内に戻りましてホテルシリーズです。
今回は言わずと知れた(?)通称「箱プリ」(そう呼ぶのは建設業界だけでしょうか?)、現在のザ・プリンス箱根です。
大学の大先輩である村野藤吾氏設計で、プリンスホテルチェーンのフラッグシップ的存在でしたが、老朽化のため最近リニューアルされたものです。

作品集で見るばかりで一度は訪れてみたかったのですが、高級そうでなかなか訪れる機会はありませんでした。リーズナブルにもなったため、ようやく訪れることができました。
日本の建築史に残る名作だけあって、さすがにすばらしいクオリティでした。
建築ばかりでなく、ランドスケープデザインも非常に優れ、芦ノ湖畔の立地や環境も言うまでも無く最高で、国内では最高の質を持ったホテルの一つであるのではないかと個人的には思います。
建築好きには極めておすすめのホテルです。


門構えは控えめですが、中に入ると長ーく壮大なロビー空間が。

屋根が木製の船底のような独特な形状なのですが、照明を当てることで黄金に輝き、赤いカーペットや石の壁と組み合わされて重厚な高級感と高揚感が感じられます。


結婚式にも使えそうな高揚感のある通路だな・・・と思っていたら、なんとこの空間を結婚式のチャペルの代わりとして使っているようです。まさに相応しい空間で、神々しささえ感じます。

現代建築の印象というものの多くは昔から「殺風景」や「厳しい」ものがほとんどなのですが、こういった神々しさや高級感を感じさせる空間は非常に珍しく、異彩を放っています。


通路の両側は分厚い石に挟まれた個室のような空間で、天井の高い壮大な通路の中にもヒューマンスケールでくつろげるスペースを提供しています。


縦長の窓周りの大きめの木の質感と、長いカーテンの透け具合、ぶ厚い石の壁、外の杉木立の眺めが縦長の空間とリンクして極めて質の高い調和を見せています。



客室棟は円形の非常に珍しいプランです。

 

近づくと、植物や生物のような曲線を用いた味のある柱やバルコニーのディテールが見えてきます。
円形の形態と曲線を多用したディテールは、おそらくは植物の花びらや果実の形態からインスピレーションを得たものでしょう。
近年の建築では絶対に見ることのできない、非常に優美なたたずまいです。

石の柱の外側に立つ鉄の柱状のものは雨どいまでもが存在を強調され、装飾的な役割も与えられています。



内部1階はレストラン。円形の回廊状の空間で、壁面の高い位置から垂らされた植物が印象的な壮麗な空間です。


円形の客室の内側には、竹と砂利の独特な枯山水の中庭が設けられています。
赤いカーペットの通路と階段が白い砂利と壁面に浮かび上がります。


客室にも、宿泊料金には見合わないほどの高級感があります。
カーテン・リネン・壁紙・カーペットいずれも上質な質感を備えています。


寝室の脇に小ぢんまりとつくられた洗面ですが、大理石の質感と照明が非常に美しい。


あまりにもすがすがしい客室からの眺め。


階段は豪華客船内の螺旋階段のような趣。



石張りの通路は洞窟の中のようで、ホテル内を歩いているだけでさまざまな眺めが次々に現れて飽きさせません。


建物の外を散歩してみると、ロケーションはもちろんのこと造園もすばらしいです。
非常にさわやかな芝生を主体とした西洋的なランドスケープデザインで、チリひとつなく管理されています。
この敷地の中だけはまるで別世界です。


草花を直線に並べた、印象的な眺め。


車寄せの植栽のデザインも正円に不定形な縁石を組み合わせた珍しいかわいい形。


ここTHE PRINCE箱根や、当ブログで以前紹介したHOTEL EL BOSCO(旧野尻湖プリンスホテル)体験してみると、当時のプリンスホテルグループの勢いや、「最高の場所に最高のホテルをつくってやろう」という意気込みをひしひしと感じ、敬服を覚えます。そしてその意思は現在でも確かなクオリティで残されています。



近年つくられた外資による高級ホテルや旅館は数十年後にこれほどのクオリティを保てるのかどうか、はなはだ疑問です。

現在でもロケーション・建築・ランドスケープを含めて国内最高の環境の一つと言えるであろうクオリティのホテルが、箱根には残されています。


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