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国立の街路樹

国立は住人に愛される街です。
愛されすぎて時に住民運動や郷土愛が過剰ではないかと思うこともありますが、これだけ愛される街というのも全国でもなかなか稀なのではないかと思います。
愛される理由は人によって様々でしょうけども、各地の建築・都市・造園を興味深く眺めてきた視点から見ると、やはり大学通りと国立駅舎の存在が最も大きいと感じます。

今回は、まず造園の立場から大学通りを眺めると、桜とイチョウを交互に並べたことが街に決定的な効果をもたらしています。サクラ並木だけ、イチョウ並木だけが有名な場所は多々ありますが、2種を混ぜちゃった並木というのはなかなかめずらしいものです。




JUGEMテーマ:国立市
桜並木が春先にすばらしい眺めをつくるのは江戸時代以来日本の最良の特徴の一つですが、ほとんどの桜の名所では花の時期が終われば、サクラは紅葉が特に美しい樹種というわけではなく、葉色が深く樹形やテクスチャも渋いので、あとは年間通して渋い味わいはありますが誰もが楽しめる見どころはそれほどありません。
ところが秋の紅葉時にはイチョウが突然存在感を発揮して大学どおりは真っ黄色の街並みとなります。しかもサクラの赤とイチョウの黄葉が組み合わさって美しい眺めをつくります。



さらにはイチョウは20mを超える巨木に成長しているため、クリスマスの頃からはクリスマスツリーとして活躍しますが、このライトアップが巨大で、20mを越すクリスマスツリーの並木を駅から眺めた様は圧巻です。



このサクラとイチョウで四季折々強烈な見どころが生まれます。
さらにはこれらの見どころを眺めるために様々な視点が用意されていて、

1.駅のホームから眺める大学通りのパースぺクティブな眺め(遠景)
2.歩道からゆっくりと木を眺めながら歩く通常の視点(中景)
3.通り沿いのレストランやカフェの中から木々を目の前に眺める視点(近景)
4.大学通りのスロープ歩道橋をぐるぐると登り、目の前で葉や花のディテールを観察できる視点(近景)
5.歩道橋からはるかに国立駅を見返すパースペクティブな眺め(遠景)
と、これだけさまざまな視点から絵になる並木も日本にはなかなかありません。

さらにもうひとつ。
街路樹のための植栽地が幅10m近く確保されていることで、駅前近くは四季折々の花畑、駅から遠ざかるにつれハギやヤマブキ・ユキヤナギ・アジサイなどの日本の典型的な植物が四季を彩ります。
また、さらに駅から遠ざかると草ぼうぼうの雑草地や芝生地などもあって、完全に手入れが行き届いてるとは言えないのですが、それはそれで住宅地に原っぱなどがなくなってしまった近年では貴重な存在となっています。



この植栽地の大きさが車道と歩道を隔てて車の存在を忘れさせてくれ、さらに歩道が約5mという日本の住宅地ではありえないゆとりの幅が確保されていることで、ほとんど公園の中を歩いている感覚をもたらしています。
おかげで何の目的も無くぶらぶらと散歩しても日々楽しめる通りとなっています。

花見は誰しもどこかの名所に行くし植物は公園にたくさんありますが、毎日の生活の中で蕾から花が咲き新芽が出て夏の濃い緑陰、紅葉、落葉、冬のさみしさとライトアップというサイクルをずっと眺めてゆく楽しみの大きさは、何年も住んでみないと実感できません。
しかし一度この楽しみを得てしまうと、よその街に住むと何かが足りないと感じてしまうようになってしまいます。

というわけで、国立の大学通りには日本の住宅地ではめずらしい、造園計画の勝利があります。

 

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  • 2018/06/07 7:40 PM
   

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