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果樹園に暮らす。

果樹園に住んでいます。
と言ってよいほど私の住む家の周囲は植木畑ばかりです。
東京都なのに。中央線なのに。
特に果樹が多いわけではないのですが、妻はなぜか昔から果樹園と呼びます。
ずいぶんローカルな話ではありますが、私は都下国分寺市に住み、駅は国立駅を利用しています。

この地元の果樹園を近頃見直しつつあります。


世間はマンションブームです。
十数年前から都心居住が見直され、不況で誰もが仕事が忙しい社会状況の中、郊外は過疎化・高齢化が進んでいます。
もはや夢は郊外の一戸建てではなく、都心のタワーマンションとなりました。
なのになぜわざわざ郊外に暮らすのでしょうか?
よく地方から出てきた人が年をとってふるさとの良さがわかるようになったといいますが、私もようやく今の年になって生まれ故郷を客観的に見られるようになってきました。
東京都で生まれ東京都で育ったので、"ふるさと"と呼ぶほどノスタルジックなものではないのですが、微妙な田舎の都下多摩地域の話です。

国立駅は東京駅から1時間ほど。
都心から帰ってくると気温が2〜3度低いと感じます。
さらに国立駅を離れ、我が家の周辺の果樹園にたどり着くとさらに2度ほど温度が下がったように少なくとも体感では感じます。
夏場は涼しいですが、冬はかなり寒いです。

友人は皆都心に住んでいるため、国立・国分寺あたりはむしろ青梅・奥多摩に近いエリアだと考えているようです。


「朝は様々な鳥の声で目覚めます。周囲には花が咲き乱れ、食べられる様々な果実が実ります。青々とした緑に囲まれたアウトドアで食事・昼寝・読書をしたり、自然に囲まれてのんびりと一日を過ごせます。」
これはメキシコのアシエンダ(田舎の荘園を改装した高級ホテル)で体験した一日ですが、ふと自分の家の周りを見渡すと、似たような状況が・・・。

都下多摩地域の植木畑の中でも、もし外部に開かれたモダンで高級な家があったなら、まさに夢のような理想の暮らしとなり得るはずです。

現実には、計画されずあまり手入れのされていない畑と、大きいが古くしぶい農家が多いので、多くの方は生産緑地にあまり素敵なイメージは持っていないでしょうけども。
しかし近頃自分の生まれ故郷が全く違うものに見えてきました。


家の周りには植木畑が広がり、所々には今でも武蔵野の雑木林が残ります。
小さい頃は実を食べたり、虫を採ったり、芝生で走り回ったり(私有地なので本当はいけませんが)して育ちました。
しかし物心ついた頃からは植木畑や林など全く見向きもせず、多摩地域はあまり用のない田舎に思え、都心にしか興味はありませんでした。
むしろ土ぼこりがすごいので、畑は邪魔な存在でしかありませんでした。
また、大学で建築を学んでからは、新建材で覆われた日本の住宅地の街並みがどうしようも無く貧相なものに思えました。

しかし改めてここで暮らしてみて思うのは、四季折々の植木畑が非常に美しい、ということです。

メキシコのアシエンダを訪れたことも、仕事で植物に関わっていることも、近年の農業ブームなども影響しているかもしれませんが、農村に住むことは現代の理想の暮らしの一つであると、改めて認識し直しました。


果樹園の秋の景色をいくつか。

遠くに真っ赤なブルーベリーの木が整然と並びます。
手前はネギのライン。
なかなか味のある眺めです。


近づくと・・・目の覚めるような美しい赤です。


落葉した後のクリの木の姿が好きです。
丸く美しい樹形の木の枝に、とげとげのクリの実がひっかかっています。
地面にもとげとげの実がたくさん転がっています。


落葉後の姿も特徴的なサルスベリの並木。
真夏には1ヶ月ほどピンクの花で満開になります。


これは・・・スゲ?芝?
なぜにこのように植えられているのはかはわかりませんが、シマシマで非常にモダンな景色。


こちらもフイリヤブランとナンテンがライン状に植えられ、計画されたランドスケープのような美しさがあります。
ヤブランは夏場にラベンダーにも似た紫色の花をつけるため、紫色のラインとなります。

特に審美性のためにやっているわけではなく、ただ生産緑地なので無造作に植えられているだけなのですが、日本の造園計画だとこのような植え方は絶対にしないため、私にはむしろ欧米のランドスケープデザインのように見え、非常に印象的で美しく感じます。



家ほどの大きさの常緑樹。
なぜか巨大な生き物が行儀良く並んでいるような存在感があります。


ブルーベリー畑の紅葉。鮮烈な赤。
新緑も実の季節も紅葉も、ブルーベリーの林が一番好きかもしれません。


熟れたざくろの実。
少し気持ち悪くも妙な風情があります。


こうして写真を並べてみると・・・やはり果樹が多かった・・・。

最後は季節は違いますが春の枝垂れ桜の畑。


幻想的なピンクの空間です。


今さらながら、郊外に住むこと、おすすめできます。

広大な果樹園を持ち、モダンな家を建て、植物を育てながらデザインを生業として暮らすのが自分の理想の暮らしの一つです。





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