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Villa d’ Este

学生時代に建築と都市計画を学び始めて10数年。
これまで日本・海外の様々な場所を訪れてきました。
ものすごく感動する場所・心穏やかになる場所・張り詰めるような緊張を覚える場所・わくわくする場所、それぞれに味わう感覚も強度も様々でしたが、その中でも最も印象に残るものから、少しづつでもこの感動を伝えたいと思います。

まずはやっぱりイタリアから。
イタリアではさすがに興奮する建築物や街並み・ランドスケープが無限にあったのですが、”建築とランドスケープ”という観点から最も感動したのは、一般の旅行者にはあまり馴染みがないかもしれませんが、ローマ近郊Tivoliの”Villa d’ Este”(エステ荘)です。
"建築とランドスケープの調和"の一つの生きた頂点をこの別荘で見ることができます。
建築家・造園家・芸術家は必見!



JUGEMテーマ:アート・デザイン
Villa d’ Esteは16世紀末につくられた貴族の別荘で、スペインのアルハンブラ宮殿やフランスのベルサイユなどと並ぶ世界で最も有名な庭園の一つです。

ローマの近郊には、遥かローマ帝国の時代より為政者の別荘がつくられてきました。Tivoliの"Villa d’ Este"や"Villa Adriana"はその代表的なものです。
中でもVilla d’ Esteは古来芸術のモチーフにも様々に引用され、ルネサンス期には数々の絵画に描かれました。近代においてもコローやその影響を受けた風景画家たちに描かれ、音楽ではリストのピアノ曲"エステ荘の噴水"などの芸術表現もなされてきました。


ローマからバスで1時間半ほどのTivoliという古い町の迷路のような狭い街路やトンネルを抜け、街はずれでたどりついた邸宅の何の変哲も無い門。さらに中庭を通り抜け、邸宅に入り部屋をめぐってゆくと突然、窓の外にパノラマの視界が開けます。
遥かに丘の上からローマまで見渡す農村風景を背景に、緑と水が織り成す庭園が展開されています。



Villa d’ Esteは、丘の上に作られた大邸宅と斜面の地形を利用してつくられたひな壇状の庭園から成ります。

庭園には"ロメッタの泉"や"百の泉の並木道"など、500もの噴水が、これでもか!と言わんばかりに噴出し、しぶきを上げ、大きな音を立てて流れ落ちています。この世のありとあらゆる噴水が表現されているのではないかと思うほどです。
さらに驚くのは建物の内部にまで噴水がつくられ、室内でも水音を奏でています。

"天空の楽園"というものがこの世にあるならば、このような場所のことを言うのであろうと思います。



空間
庭園の全ては最上部の邸宅から一望できますが、全ては一度に見えず、スロープを下り、植物の壁を抜け、歩いていくにつれて様々な噴水やシーンが次々に現れては消えてゆきます。
また、屋外にもかかわらず、イタリアサイプレス(杉)の"柱"と様々な大きな刈り込みの"壁"によってつくられた建築的な巨大な"空間"が強く感じられます。





ここでは、庭園という"空間"表現であるにもかかわらず、"音楽"が強く意識されます。
文字通りの様々な水音の変化やリズミカルな木々の配置、直線や曲線の階段のリズム、坂を下るときの空間の変化、大きな段を下ってはまた広場に出る繰り返しのひな壇状の全体の構成など、すべてがリズムを感じさせ、ランドスケープから音だけではない"音楽"を感じさせます。



石でつくられた建築物とは異なり、植物の寿命は数十年から極端に長くても数百年で、その誕生から常に形を変えてゆきます。ですからこのような植物と水を主体とした庭園が数百年を経て、おそらくは元の形のままに生きて維持されている例というのは世界でもなかなかありません。

"建築とランドスケープの調和"の一つの生きた頂点をこの別荘で見ることができます。



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