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地中美術館と直島

地中美術館に行ってきました。
開催中の瀬戸内国際芸術祭に合わせて直島と高松エリアのアート・デザイン・建築・造園三昧の旅です。
見所が目白押しで充実の旅でした。

最大の見所は、やはり地中美術館でした。


東京から空路を経てフェリーに乗り遠路はるばる直島に到着。やれやれと思っていると、民宿のおじさんからまず言われたのは、「地中美術館と南寺(ジェームズ・タレルの家プロジェクト)の予約は取れたか?」ということでした。
「?」と思っていると、なんとどちらも整理券をもらって3時間待ち程度、とのこと。東京ディズニーランドよりサバイバルが厳しい・・・。
しかしそこまで言われるとむしろどうしても見たくなり、チケット争奪戦に参戦することに。
のんびり直島でアート鑑賞・・・のつもりで来たのですが・・・。
昼ごはんを食べる暇もありません。
のどかな島なのに・・・。
気を取り直して整理券をもらいに行くも、なんと当日分はどちらも終わり。
次の日の朝、開館前から並んで整理券をもらえなければ、もはや今回の旅行中に見れないことになります・・・。


フェリーターミナルは妹島和世氏設計。あまりにも薄すぎる屋根と柱が見所(?)。

しかし島中に20代前半の若者の姿が非常に多く、しかも美術・デザイン系ばかりでもないようで、ごく普通のおしゃれなカップルなどがデートコースのようなノリで極めて自然に現代アートを楽しみに来ている様子です。なかなか珍しい現象です。
瀬戸内国際芸術祭がこれほど話題になっているとは、調べが足りませんでした。


言われた通りに次の日朝早くから並んで、整理券をゲット。
ようやく地中美術館です。


中身は・・・どこもかしこも撮影禁止なので体験してのお楽しみですが、とにかくすばらしい。どなたも楽しめること請け合いです。
特にジェームズ・タレル三昧が印象的でした。驚きの体験。

建築としては、地中ゆえに体感できるのはほぼ壁のみで、写真には映り難い空間ですが、安藤忠雄氏の渾身の作品と言えそうな凄味をたたえています。数十年来のコンクリート造の熟練と、閉鎖と開放を繰り返す空間体験の妙、またディーテールの熟成された完璧な空間が、厳しい緊張感を伝えてきます。

通常の美術館で目に付く余計なサイン、張り紙、不要な調度品、過度な照明、演出、設備機器、不要なディテールなどが完全に排除されて、空間と作品と人間のみが美しく浮かび上がっています。
最も作品が美しく体験できる場所となっており、あたりまえのことのようで他のどこにも実現できていない鑑賞空間がここにあります。
3作品のみの常設だからこそできることなのでしょうけども。
美術作品もそうですが、やはり人間が、他のどこにたたずむよりも美しく見えます。

安藤忠雄氏の建築作品は、建築自体を鑑賞しようとしても、ただコンクリートの壁が続くのみで、「コンクリートが美しいでしょ」と言われても、確かに美しい・・・、と言うしかないのですが、建築を見るというよりも、通路や吹き抜けにより圧迫と開放を繰り返す空間体験の連続による心理の変化や、その中にある作品や人間や周辺の風景が最高に美しく見える、という点が最も優れた特質なのかもしれません。

地中のモネの睡蓮の部屋と、屋外に再現されたリアルモネの庭も、ベタな企画かと思いきやなかなか味わい深いです。モネの庭(地中庭園?)が非常に手間暇をかけて美しく作られていて、モネなしで庭だけでも充分に楽しめます。ちょうど蓮の花の咲く時期な上、雨で植物が極めて美しく輝いていました。



こちらは地中美術館別館、とも呼べそうな李禹煥美術館。こちらも"ほぼ"地中です。
安藤忠雄ワールドが続きます。


平面、空間、ディテール、これほど完全無欠な「建築」は現代には世界中を見渡してもなかなかありません。ライト、コルビュジェ、ミース、アアルト、カーンなど建築史上に残る巨匠の境地に達しているように私には見えます。


さらに他の安藤忠雄氏の作品と異なるのは、ランドスケープが緻密にコントロールされている点です。これまでの作品では、美しいコンクリートの壁とガラスの外側はただのツツジの広がりやらケヤキ一本やら砕石が広がるのみで、風景が美しい場合以外は単なるがらんどうでした。ミニマル好きにはたまらない空間ですが。


普通の一般市民にとっては、お世辞にも「美しい」とは言えないものではないかと思ってきましたが、直島ではどうやら外部はランドスケープアーキテクトによって全てがコントロールされているようです。
コンクリートの壁に囲まれた視線の先には直島の美しい風景や、豊かな植物が目に入り、相乗効果でコンクリートのミニマムな空間が活かされています。


最良の建築の効果は、建築自体が存在を主張するよりも、作品や人間など建築の"中身"を引き立て、活動を促進し、または建築があることで周囲の風景がより美しく見えてくることなど、建築以外のものを生かす役割だ、ということがここでは逆説的に体感できます。

そのような建築の境地にたどり着くためには、これほどの長年の熱意や経験、挑戦、熟成、徹底などが必要とされる、ということに愕然としました。
いつか自分も一歩でも近づきたい境地を目の当たりにしました。

みなさんも建築の歴史が作られている現場を、是非体験してみてください。


ベネッセアートサイト直島

瀬戸内国際芸術祭



comments

こんにちは。
読んでくれてたのですね。
お仕事たいへんですが、きっと将来のためになるので体壊さないようにがんばってください。

  • フルカワリョウタロウ
  • 2011/12/07 4:28 PM

こんばんは。
直島行ってきたんですね。
僕は四年前くらいに行きました。
家プロジェクト最高でした。
地中美術館も良かったです。
また仕事忙しくなったらお願いします。

  • 川口哲洋
  • 2011/03/19 11:45 PM
   

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