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セノーテと聖地

 メキシコの旅は、アステカ・マヤ文明の巨大遺跡をはじめとして、カンクンなどの海辺のリゾート・フィエスタ・西洋文化・土着文化・絵画・モダンデザインなど、ありとあらゆる見所が目白押しで、たったひとつの国とは思えないほどのグランドツアーでした。

メキシコの有名な遺跡群については多くの人が記しているでしょうから改めて書くまでもありませんが、印象的だったのはユカタン半島のマヤ文明遺跡エリア周辺に点在する、ジャングルの中に自然の力でつくられた聖地でした。

自然の力がつくり上げる空間のスケールと感動は、人間のつくるどんな建築や土木構造物でもかないません。人間の営為のちっぽけさを感じる瞬間です。

セノーテはユカタン半島の石灰岩地帯に見られる、地面が陥没した穴に地下水がたまった天然の泉です。古来第一には真水の供給源でしたが、巡礼や雨乞いのための供物・生け贄をささげる場としても機能していました。 世界各地に鍾乳洞など石灰岩が水による侵食を受けてできた洞窟は無数にありますが、ここでは鍾乳洞が陥没して穴ができ、さらに海面の上昇によって鍾乳洞に水が満たされてできた地形のようです。地域一帯の地下に鍾乳洞が張り巡らされ、あちこちにこのような巨大な穴がぽっかりと空いています。
地上から見ると草木に覆われてほとんど何も見えないのですが、木々の隙間から覗き込むと30メートルほど下に天然のプールが見えます。


洞窟を抜けて下まで降りてみると・・・。


天から光の降り注ぐ神々しい空間が現れます。
垂れ下がる蔦の先から湧き水も絶えず降り注ぎ、自然の恵みの力を強烈に感じることのできる空間です。


これだけ科学技術や情報が発展し、もはや知らないものなど無いように思っている現代社会においても、ここでは人知を超える神のようなものの存在を感じます。


まさかここでかつて生け贄がささげられ、無数の白骨が沈んでいる場所とは思えません・・・。


このセノーテでは洞窟を掘り階段を作って穴の底にアクセスでき、またプールとしても楽しめるように人の手をかなり加えてありますが、うまく地形と同化して自然の力でできた空間の力強さは変わっていません。


このような特別な自然の地形を利用した聖地は、世界各地で見られます。ハワイはカウアイ島のシダの洞窟、日本でも沖縄のウタキなど、人の力を圧倒的に超える力によって作られた偉大な空間と湧水や植物などの自然恵みが組み合わされた場所で、人間は偉大な自然の力を感じ、豊作や幸福を願い、祈りをささげてきました。

そして現代においても、人間はこのような自然の聖地を訪れることで、自然の力を強烈に感じ生きる力のようなものをもらったり、人間社会や自然との関わりなどについて改めて考えを巡らせるきっかけを与えてくれる場所としても極めて重要な意味を持っています。




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