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プリエト・ロペス邸

引き続きルイス・バラガン設計の名作住宅、プリエト・ロペス邸です。

この家は世界遺産には登録されていませんが、個人的には今回訪れることのできたバラガンの住宅の中では一番の傑作ではないかと感じました。
建築作品として見ると、世界遺産となった"バラガン邸"、また晩年の最高傑作とされる"ヒラルディ邸"などの作品のほうが強烈な個性が際立っていて、いずれも"一人で静かに瞑想する場所"としては最高の場所なのですが、同時にどこか暗く寂しい雰囲気も感じられます。
しかしこのプリエトロペス邸は全体的に"家族の場所"という雰囲気が強く、明るく開放的でのびやかな住宅となっています。
周辺は溶岩の台地に草木の生い茂る荒地だった場所をバラガンがディベロッパーとして自ら取得して開発し売り出した地域です。
現在では緑豊かな超高級住宅街となっています。
ぶ厚い扉の門をくぐると広々とした前庭に出ます。
広大な玄関ホール。天井高は7メートルもあって教会に入ってきたかのような荘厳な雰囲気。通常の住宅のスケールではない巨大さ。すべてが大きめ。置物も全てバラガンと協働した芸術家が決め、建設当初から変えていないそうです。
リビングルーム。3方向に庭に大きく開かれた明るいリビング。写真では伝わりにくいのですが広さもすさまじく、日本の一般家庭のリビングの5倍程はありそう。
オレンジ色の鍋でそろえたかわいいキッチン。
庭へと開かれたメインダイニング。フルーツの置物とスイカの絵が彩りを加える。
大きく芝生の広がる庭。ジャカランダやブーゲンビリアなどの原生植物が多い。草花はほとんど無く高木と潅木ばかりのシンプルな庭。
大勢で暖炉を囲み庭を望むリビング空間。
メキシコでよく見る民芸品や絵画のモチーフ。建物の色彩・形・工法・素材・植物・機能、どれもメキシコでは街中でよく見る要素ばかりです。
特別なものは何も無いのに、極めて特別な空間がここにあります。
感じるのはものすごく高いレベルの環境の調和です。
周囲の環境から持ってきた植物や素材。伝統的な工法、民芸、色彩。全人間的な環境の調和というのはこのような状態を言うのかもしれません。
全てがしっくりとおさまって、目に入るあらゆるものが自然・街並み・伝統・人間に関連付けられていると感じられるような自然さ。
日本で飛騨高山の白川郷に行った時に感じた、自然環境と人と生業と建築とランドスケープ全ての調和の美しさは、農業の時代だから自然にできた環境で、現代ではノスタルジーなのだと思っていたのですが、どうやら生活と環境がこれだけ混乱した現代でも実現可能なことだということを初めて知りました。
驚きました。
永遠の目標となりそうです・・・。

 

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