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アルメレの都市デザイン

オランダは都市デザイン先進国です。

特にアムステルダムやロッテルダムでは、非常に斬新な都市デザインや現代建築が街中に多く、その密度とインパクトに驚かされます。

まぎれもなく都市デザインの最先進国の一つと言えます。

いくつかオランダの都市デザインを取り上げてみたいと思いますが、まずはアムステルダム近郊の街、アルメレの都市デザインが非常に印象的だったので、記しておきたいと思います。

 

 

Almere Stad アルメレはアムステルダムから30kmほどの近郊にあり、オランダでも最も新しく誕生した街で、

1994年から2007年にかけて市街地中心部が開発されました。

この中心市街地は、今や世界で最も有名な設計事務所の一つとなったOMAがマスタープランを手掛け、

建築物は全て世界の著名設計事務所が関わって作られました。

その都市デザイン手法は非常に斬新で、世界を見回しても非常に珍しい現代建築都市となりました。

航空写真を見るだけでも、面白い形の建物がたくさんある、何やら変わった街であることが見て取れます。

 

 

アルメレ駅の南側の一角が中心市街地として開発された部分で、

整然とした都市計画と建築計画のされた住居地域の中に、新しく斬新なアルメール市の中心エリアが開発されました。

 

 

このエリアの特徴としては、

.薀鵐瀬爐雰物の配置

高層・中層・低層と様々な大きさの建物が混在

商業・住宅・公共文化施設の混在

し築物は全て斬新な現代建築

タ渊餞曚魍垢涼羶瓦貿枌

人工地盤上にある街

等の点が、従来の都市デザインと大きく異なるポイントでした。

 

平面図を見ると、配置のランダムさと、都市機能のミックス具合が見て取れます。

住宅・公共施設・様々な種類の商業・娯楽施設が混在しています。

 


アルメレの駅を降りてしばらく普通の市街地を通り抜け、新市街地にさしかかると、街の入口の広場に現れるのは大きな図書館です。

 

 

この図書館はかなり斬新な設計で、広場に面して階段状のロビーが設けられています。

1階には商店が並びます。

 

 

中も非常に斬新で、図書館というよりはデザインミュージアムのような雰囲気です。

 

 

内部には本を読む場所や自由に休んだり調べものや勉強をするスペースがふんだんに設けられ、

市民のための大きなリビングルームのように使うことができます。

街の広場に隣接してこのように自由に使える場所があることで、人が集まり、滞在し、活動できる、

活発な中心部を形成しています。

 

従来の街づくりでは、街の広場の中心に設けられるのはデパート等の大きな商業施設が主でしたが、

公共の文化施設が街の中心に置かれることはあまりありませんでした。

むしろ市庁舎や美術館が街の中心広場にあった、中世の都市デザインに近い手法かもしれません。

 

 

図書館から見下ろした広場。

がらんどうの広場を中心とした街づくりは、ヨーロッパの都市デザインの伝統にのっとっています。

 

 

図書館を街の中心に配置し、たくさんの人々を引き付け活発な中心部を形成するというのは、

近代都市デザインでは見られなかった斬新な手法でした。

近年世界のあちこちで斬新な図書館が街の中心につくられ話題となっていますが、

この図書館建築ブームはここから始まっていると言っても過言ではありません。

 

 

開発エリアの中心は住宅と商業の複合施設で、地上部分がショッピングモール、2階以上は主に住宅となっています。

 

建物がランダムな配置のため、すべての街路が斜めに走り、方向性を見失いやすい迷宮状の街路空間となっています。

 

 

地形が持ち上げられたようなデザインで、屋上部は緑地になっています。

地面を2階に持ち上げたようなイメージでしょうか。

 

 

 

さらにその持ち上げられた地盤の上に低層の建物が乗っているようなデザインです。

 

 

周囲の建物も一つ一つ色も形もデザインが全く異なり、わざと様々なデザインの建物をミックスさせて、

活気のある雰囲気を形成しています。

 

何か街中が非常にアクティブな雰囲気です。

 

 

もう一つの広場には、UTOPOLIS(理想の都市?)と名付けられた大規模なショッピングモールが。

マスタープランを手掛けたOMAによる設計です。

 

 

広場から2階の映画館へと室内で大階段がつながります。

1Fは商業施設で、上層に映画館が乗っている形をそのまま広場側に見せています。

 

 

広場の中心には、地上部分が観客席のようなデザインの地下駐車場への入口があります。

 

 

地下は広大な駐車場となっています。

開発地域の全体が地下駐車場となっていますが、実はこの街は駐車場が地上階で、街路は全て2階の人工地盤上にあるのです。

 


 

開発エリアは全体が丘のような形で地盤が作られて駐車場が埋め込まれているため、歩いていると気が付きません。

 

 

地下駐車場からはいくつかのショッピングモールや周辺の街路に直接出られます。

駐車場から地上へ上がる階段。駐車場の縞シマシマがゆがめられた舗装デザイン。

 

 

図面で見ると良くわかります。

下の写真が地上階の平面図で、茶色い部分が全て駐車場。オレンジが商業。

 

 

次は2階の平面図で、黒い部分が街路です。

 

 

1階が駐車場、2階が街路と商業、3階以上が住宅と文化施設となり、平面的にも断面的にも機能がミックスされていることがわかります。

 

 

イベント時には街中がものすごい人手になるようです。

 

 

市街地のはずれの湖へは、丘状の開発エリアを下って行きます。

 

 

そして市街地のはずれには、日本のSANAA設計のスタッドシアター(劇場・カフェ・ミュージアム・ダンススタジオ・工房等の文化複合施設)

が湖に面して設けられています。

 

劇場らしい見た目を完全に拒絶するかのような、ガラスの大きな箱が二つ連なる形の、不思議なボリュームのシアターです。

 

 

図書館と並び、こちらも街のはずれにもかかわらず、多くの若者の集まるクリエイティブな活動空間です。

 

 

中はやはり金沢の21世紀美術館に似た雰囲気で、非常にミニマムですが未来的で活動的なイメージです。

 

 

ロケーションが抜群なため、ガラスの多い空間も生かされ非常に開放的な施設となっています。

 

 

街並みを振り返ると面白い形の建物ばかりで、現代建築の競演によるモダンでクリーンな都市景観となっています。

 

 

こうした最新の現代建築の生かされた都市デザインは日本ではなかなか見られない光景です。

 

 

水辺には斬新な形の高層ハウジングが並べられています。

低層・中層・高層とバラバラな大きさの建物がミックスされて開発されているところも大きな特徴です。

 

 

街の配置も建物も機能も、通常の秩序を覆してランダムや斜め・ミックスにすることで通常の都市と明らかに異なるデザインとしています。

そして見た目にも機能的にも人々にクリエイティブな刺激を与え、アクティブな雰囲気の都市にしようとしているようです。

 

空から見ると、周囲の通常の街並みから浮き立つこのエリアの特徴が良くとらえられます。

めちゃくちゃ、とも言えます。

わざと通常の秩序をこわすことで、街にインパクトを与えています。

 

 

図面や写真を見ているだけでは、アルメレの都市デザインの特徴や意図はわかりにくかったのですが、

実際に訪れてみたことで、実現された空間のおもしろさや、その機能的な効果、周辺エリアとの違い等が強く実感されました。

 

 

従来の都市デザインとは異なる手法を用いることで、そこで生活する人々に刺激を与え、

たくさんの人々が集まり、クリエイティブに活動する街の姿が、アルメレの都市デザインのねらいのようです。

 

 

アルメレの都市デザインは、その後の都市開発にも大きく影響を与え、

ランダムな建物の配置や形態、図書館等の公共施設の重視、機能のミックス、人工地盤上の都市、様々な現代建築家の起用等は、

その後の都市開発のスタンダートとなりました。

アルメラは、90年代に描かれた未来都市の姿だったとも言えます。

 

次の未来の都市デザインは、どのようなものになるでしょうか?

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