May 2020  |  01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31

ルイジアナ美術館

世界一美しい美術館と呼ばれる美術館があります。

デンマークの首都コペンハーゲン近郊のルイジアナ美術館です。

 

一体何が世界一なのでしょうか?

写真からは全くわかりませんでしたが、訪れてみると噂に違わぬ素晴らしい美術館で,

確かに世界一と言っても過言ではない素晴らしい環境でした。

 

ルイジアナ美術館は、コペンハーゲン都心部から電車で40分ほど離れた郊外にあります。

駅から美術館へは住宅地を通り抜けて、歩いて10分ほどです。

 

 

何でもない郊外の住宅地を歩いていくのですが、これが美しい住宅地なのです。

同じ色とりどりの三角屋根がかわいい住宅が点々と並びます。

外壁の材質は板張りやレンガ張りと様々ですが、どれも同じスタイルの住宅です。

 

 

自然素材主体の住宅が周囲の自然に溶け込んで、非常に美しい街並みを形成しています。

そもそも北欧の自然環境自体があまりにも美しい・・・。

 

 

随分歩いて民家もまばらになってきたころ、少し雰囲気の異なる、黒い壁がツタに覆われた住宅があると思ったら、、、

なんとこれがルイジアナ美術館のようです。

 

住宅地に完全に溶け込んでいます。

 

 

実際に美術館の始まりは個人の邸宅と、個人のアートコレクションと庭から始まっているそうです。

美術館につくり変え、増築を重ね、現在の姿となっています。

 

 

入口の中庭には草間彌生のかぼちゃが。

 

 

これがなければ美術館とは全く思えません。

 

 

入口も完全に住宅の玄関の雰囲気です。

 

 

中に入ると一転、ミュージアムショップとチケットオフィスが広がり、ようやく見慣れた美術館の雰囲気。

 

 

窓の外には庭園が広がります。

 

 

この庭園があまりにも美しいのです。

庭園の周りに展示室が展開しています。

 

 

展示室に足を踏み入れると、半地下の通路が続きます。

 

 

新しく増築されていった展示室は元の邸宅と庭園の雰囲気を残すために、建物のほとんどは地下に埋められ、1層程度の壁と通路だけが地上に見えています。

そのため、広大な敷地に散在した展示室が回廊でつながれ、庭園を眺めながらアートを巡る、回遊型の美術館となっています。

 

ほとんど"通路"と"箱"のみからできた美術館です。

 

 

この日は草間彌生の大回顧展でした。

ヨーロッパでもすごい人気のようです。

 

 

展示室が地下に埋められているため、階段を上がったり下がったり、迷宮状の地下通路や、地上の回廊、また庭園の歩道といった、施設内外の多様な空間を歩き回る必要があります。

この庭園を巡って歩く体験自体が最高に楽しく、気持ちよく、周囲の風景の眺めも美しい、最高の体験なのです。

 

 

 

 

途中現れる休憩スペースも何か住宅の広いリビングルームのような雰囲気。

美術館全体に漂う住宅のようなアットホーム感が、他のどこにも見たことのない美術館となっています。

ここに住んでみたい程です。

 

 

通路も階段も、住宅の階段のように見える、アットホームなデザインです。

 

 

なごやかな空間に毒々しい作品が際立ち、どきっとします。

 

 

ルイジアナ美術館は、世界一の美術館と呼ぶにはあまりにもささやかな規模で、

最近世界中で建てられている奇想天外な変わった形の大規模な美術館とはあまりにも異なり、存在感が非常に希薄な小規模な美術館です。

 

 

庭園の美しさを損なわないように、建物の地上部分は木々の間からちらりと見える程度に抑えられています。

 

 

建物というよりは、庭園と周囲の湖の美しい景観があまりにも印象的です。

 

 

施設の大部分が地中に埋まっている様子がよくわかります。

芝生と緑化でうまく隠されています。

 

 

外には湖の景観とアートのみ。

 

 

広大な庭園も、広々として芝生広場や林の中の小道、湖のほとりの広場、彫刻を見ながら歩き回る園路と、多様な体験ができます。

 

 

美術館に来たというよりも、美しい庭園の中に散在するアートを見てまわっている感覚で、現代アート好きもそうでなくても、老若男女あらゆる人が楽しめる環境となっています。

それがルイジアナ美術館を世界一の美術館の美術館の一つ、と呼ばれる理由のようです。

 

 

どうやらこここは世界で一番、気持ちよく、楽しく、美しい美術館のようです。

 

美術館というよりは、「美術庭園」です。

名付けようのない、他にはない全体環境が出来上がっています。

 


 

フードコートは大学か何かの食堂のようなのどかな雰囲気。

 

 

美術館なのに、どこもかしこも何かほっとして和める雰囲気が充満しています。

ほっとできる美術館なんて、他の世界のどこにあったでしょうか?

 

 

アウトドアでも食事とアートを楽しめます。

晴れていたらどれほど素晴らしい景観でしょうか。

 

 

敷地の周囲を眺めても、どれが美術館の施設でどれが民家なのかわからないように環境に溶け込んでいる上に、

景観を損なうものが一つもありません。

 

 

通常閉鎖しがちな劇場空間も、大きな窓で周辺環境を取り込んでいます。

 

 

子供のワークショップ空間。

時代が変わり、新しい機能を追加する度に増築を重ねています。

 

 

後半は常設展で、ガラス貼りの回廊沿いに展示室が点在します。

 

この回廊エリアがルイジアナ美術館の最大のハイライトです。

 

 

回廊自体が展示室となり、折れ曲がる突き当りや、回廊沿いに常設展示が点在します。

 

 

ここでも庭を眺めながら、彫刻を眺められます。

 

 

最も有名なジャコメッティの彫刻の展示室は、湖を望む大きな窓からの景観が印象的です。

庭園を眺めるための箱がメインで、アートが点景のように見えます。

 

 

 

回廊からフレーム越しに眺める庭園は、額縁に納められた絵画のように、ひときわ植物が美しく感じられます。

 

 

日本庭園で寺社内部から林立する柱越しに見る庭園が美しいのと同様な、"フレーム効果"が生まれています。

 

 

回廊は地面に合わせて傾斜し、木とレンガの自然素材でつくられ、庭園に溶け込むようにデザインされています。

 

 

既存の樹木の間を抜けるように回廊が巡っています。

 

 

素材もデザインも公園のあずまややパーゴラのようなつくりで、建築物というよりも庭園の点景のように見えます。

 

 

通路は林の間を通り、また開放的な芝生の庭に出て、閉鎖と開放を内外で繰り返します。

 

 

最後は元のスタートハウスに帰ってくるのですが、また自分の家に帰って来たようでほっとします。

 

 

ルイジアナ美術館は、そもそも美しい景勝地に作られた有名な庭園と別荘を美術館に作り替えたもので、周囲の自然環境から庭園、建築物まで見事に調和した全体環境が、この美術館を世界のどこにもない特別なものにしています。

 

 

たくさんの写真になりましたが、一枚の写真、一つの空間では全くこの環境を伝えることはできませんでした。

歩き回り、通り抜け、上ったり下りたり、眺め、食べ、休み、また眺めるという体験の断片から形成される全体像があまりにも素晴らしい場所です。

 

じっくり鑑賞するには1日中でも足りないくらいです。

 

さりげないけれど、驚異的に美しい環境でした。

 

美しい自然環境の中でアートを鑑賞する。

何か人間がつくり上げた文化と自然環境の最も素晴らしい部分を調和させて体現したような、極上の体験です。

 

永遠の名作でした・・・

 

 

 

 

comments

   
pagetop