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ヒルサイドテラス若葉台-5 植物について

第五弾は、植物についてです。

ヒルサイドテラス若葉台では、"建築と自然の調和"を特に目指しました。

日本の風土にふさわしい植物と建物のデザインを採用し、緑に包まれた住宅地として理想的な環境をイメージしました。

 

 

植栽のコンセプトは、"雑木"の庭です。

"雑木の庭"とは、昔から日本で庭木として用いられてきた樹種を主体として、樹形や葉型・緑陰を楽しむ自然な樹形の樹木を中心とした、さわやかな雑木林のような自然な雰囲気の庭です。

カエデ、ヤマボウシ、ヒメシャラ、エゴノキ、アオダモ、カツラ等、幹の細い株立ち(根本から複数の幹が出る)の樹木、小さい葉で繊細なイメージの樹木等を数多く用いるのが特徴です。

株立ちの樹種は、少ない本数でも細い幹がたくさんあるため涼し気な林のような雰囲気を醸し出し、しかも単幹に比べ大きさも抑えられるため庭木に最適なのです。

 

そもそも敷地の周囲は、コナラ・クヌギ・ケヤキ等の落葉樹林を主体とした、雑木林で囲まれています。

この雑木林は、薪や炭・堆肥の材料・シイタケやきのこ等を得るため、生活のために人間が植林し、管理されてきた人工林が残されたもので、"里山"と呼ばれるものです。

古来、人の住む平地の周りの丘陵地、山地の際はこのような生活のための人工林として利用されてきました。

”里山”は住宅地開発と共に失われてゆきましたが、稲城市周辺に残された雑木林は東京都最後の"里山"と呼ばれるエリアで、貴重な動植物も生息しています。

今では"里山保全地域"に指定され、樹木の伐採が禁止され景観が守られています。

 

この"里山"の景観を、新しく作る住宅地と調和させることが、計画当初から重要なテーマでした。

その方法は、

・敷地内に新たに植える植物は、日本の庭木を主体とした雑木の庭として、周囲の雑木林と自然に連続させる

・コモン(小広場)を利用して、雑木林から住宅地内への風の道をつくる

・住宅のプランを、道路から雑木林に向けて光と風が抜けるようにする

・住宅の中から雑木林への眺めを生かす

等でした。

 

住宅の中から雑木林まで緑地空間が連続して、緑地からの風が吹き抜け、緑に包まれる暮らしをイメージしました。

都会のヒートアイランド環境とは正反対に、夏は雑木林の緑陰で冷やされた風が吹き抜け、冬は落葉して日当たりが良く温かい、周辺環境の微気候を生かす計画となっています。

 

敷地内の樹種は日本の雑木ばかりで雑木林のような風情のため、違和感なく周囲の里山と連続しています。

 

雑木林は住宅の背景となり、敷地内の緑と連続しています。

 

コモン(小広場)は、ヒメシャラ・コハウチワカエデ・ヤマボウシ・シラカシ等の株立ちの樹種を主体とした雑木で囲い込まれるようなデザインとなっています。

 

コモン(小広場)の入口両側にはゲートのようなイメージで高木を多数植え込み、木々の間を抜けてコモンに入り込みます。

それぞれのコモンの正面には、最も大きなシンボルツリーを用意しました。

 

ここでは株立ちのコハウチワカエデがシンボルツリーとなっています。

春の新緑、秋の紅葉、葉の落ちた冬の幹の姿が見どころとなります。

 

それぞれの住戸へのアプローチは、木々の間を抜けて玄関へと至ります。

家の姿は植物にさえぎられ、見え隠れしています。時間が経つにつれ、植物が成長して家が緑に包まれた雰囲気となります。

 

外壁の材料は、左官材料の塗り壁を用いてざらざらした質感と色彩として、植物の緑色と調和して映える色調としました。

玄関周りの板張りも、植物の背景としてお互いを引き立てる質感です。

土や木材等の自然素材を多用し、落ち着いたデザインの家にすることで、植物と建築の調和、また周辺環境との調和を目指しています。

 

時間が経つにつれ、外壁のざらざらした素材感は味わいを増し、色彩はなじみ、植物は茂り、緑に包まれる家並みが完成してゆきます。

出来立ての現在は、まだ植物や建物が周辺環境にもなじまず、違和感を感じる時期です。

完成から時間が経つにつれて、味わいと調和を増してゆく住宅地をイメージしました。

 

下はマルチパーパスルーム(多目的室)へのアプローチ。

 

 

 

 

コモンに開かれたマルチ・パーパスルーム(多目的室)室内からは、コモンの緑が大きく目に入ります。

 

住宅のプランニングは、"里山"への眺めを生かすことも念頭に進められました。

下の写真のように、里山に面する住戸については、高い天井と大きな窓を組み合わせて、その豊かな緑地の眺めを最大限取り入れられるようにデザインされています。

 

敷地内外の緑が室内に様々な角度から取り込まれます。

 

リビング・ダイニングからウッドデッキに出ると、コモンや周辺の緑に包まれ、さわやかな時間を過ごせます。

 

敷地内には、自宅に居ながらにして四季を楽しめるように多種多様な樹木が植えられています。

主な樹種は、日本を代表する雑木や庭木ばかりで、周囲の雑木林にも馴染み、緑地が周辺まで連続するイメージのデザインです。

カエデ、ヤマボウシ、ヒメシャラ、エゴノキ、アオダモ、カツラ等、小さい葉や株立ちの樹木を数多く用いることで、幹が細く葉が細かく繊細なイメージで、風にそよぐとさわやかな落葉樹主体の雑木林の雰囲気を醸し出しています。

古来日本の風土に根ざし、庭木として利用されてきた樹木は、大きくなりすぎず、強肩で手間のかかりにくい特徴を持つものばかりで、管理の手間も減らしてくれます。

 

 

 

春は街路樹の桜が住宅地全体を彩り、モミジ・アオダモ・ヤマボウシ等、落葉樹の新緑に包まれます。

ヒメシャラやヤマボウシ・ツツジ・シャクナゲ等、色とりどりの花も楽しめます。

 

夏は小さい葉で幹の細い株立ち樹木が多いため、樹木が成長すると風にそよぐさわやかな緑陰で快適に過ごせるようになります。

 

 

秋はコハウチワカエデ・ノムラモミジ・ヒメシャラ・ヤマボウシ・カツラ等が美しく紅葉し、周囲の雑木林や街路樹と一体となり、日々変化する色彩を楽しめます。

 

冬はシラカシやキンモクセイ・常緑ヤマボウシ等の常緑樹が目立つようになり、落葉した木々も株立ちの幹の形が美しく、樹形を楽しめます。

常緑の低木も豊富に植えこんでいるため、真冬でもオタフクナンテン・シャクナゲ・マホニアコンフューサ等、色とりどりの葉色や形を楽しめます。

 

ヒルサイドテラス若葉台では、"建築と自然の調和"を目指して、日本の風土にふさわしい植物と建物のデザインを採用し、緑に包まれた住宅地として、我々の考える理想的な住環境の一つを実現しました。

 

落ち着いたたたずまいの住宅地は、時代が変わっても飽きたり廃れることはなく、周囲の植物が四季折々永続的に楽しみを与えてくれます。

"時を経て味わいを増し続ける住宅地"が実現できたと考えています。

 

代表して書かせていただきましたが、都市開発コンサルタント・建築家・インテリアデザイナー・ガーデンデザイナー・ディベロッパー・販売会社等が協働して、部屋の中から周辺環境に至るまで、全体が一貫したコンセプトでデザインされた住宅地が実現されるのは、極めて稀な機会だったと思います。

 

時間の経過と共に植物が育ち、緑に包まれた住宅地が、どのように周辺環境になじんで成熟してゆくのか、見守り続けたいと思います。

 

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