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ダイアナ・メモリアル・ファウンテン

ロンドンで最も好きな場所の一つは、ケンジントン・ガーデンとハイドパークです。

公園として美しいことが最大の魅力ですが、サーペンタインギャラリーという現代美術ギャラリーも併設しており、公園で現代アートも楽しめるところが非常に楽しい公園です。

 

そのケンジントン・ガーデンに2004年に完成したのが、ダイアナ・メモリアルですが、これがメモリアルとしては極めて斬新なものなのです。

 

このダイアナ・メモリアルのすごいところは、ただの噴水一つのデザインにすぎないのですが、何かランドスケープデザインの"粋(すい)"のようなものを感じさせるところです。

 

 

 

 

 

通常メモリアルというのは、記念碑という名の通り、偉大な人の大きな石造が置いてあったり、石碑に名前が刻んであったり、何か具体的な形を持つものがほとんどです。

 

しかしこのメモリアルでは、ただただ"水の流れ"がデザインされています。

ダイアナ妃の波乱万丈の人生を、穏やかな水面、急な変化、激しい水音を立てる、滝のように流れ落ちる等様々な"水の動き"で表現したものなのです。

 

しかもただ流れ落ちるだけでなく、水の流れをネックレスのようにリング状につなげてしまったことで、他のどこにも似ているもののない、オリジナリティーの極めて高いデザインとなっています。

 

上空から眺めると、どのようなデザインなのかよくわかります。

 

 

楕円形のリング状の平面をした、一つながりの噴水です。

 

 

 

メモリアルを遠めに見ると、下の写真のように普通の公園の園路のような一コマです。

 

 

近づいてみると、なだらかな斜面の一番高い部分ではぶくぶくと穏やかに水が湧き出ています。

 

 

リング状の流れのため、一番高い部分から水路が両側に流れ出しており、片方は凸凹で激しい流れ、もう一方は緩急をつけたなめらかな流れとなっています。

ダイアナ妃の人生の2つの側面を表しているそうです。

 

 

凸凹のほうは、視覚的にも水が激しい音を立てます。

下流のほうは凹凸のある滝のようになっており、美しい水の動きを見せています。

 

 

なめらかなほうの流れは、まずは細く鋭い流れでスピードを増し、

 

 

バンクした水路上をS字にカーブを繰り返し、

 

 

途中また水を吹き出しながら流れ落ちます。

 

 

最後は広く穏やかな水面にたどり着いて、また水は上部かの湧水へと送られ、循環し続けます。

 

 

あらゆるタイプの水の動き方と音の立て方をするように、流水れの表面は、斜面や凸凹など様々な形に石が削られて作られています。

コンピュータの3次元モデリングで設計し、そのまま花崗岩を機械で削り出した、独特の形態です。

 

 

途中流れが緩やかな部分では、公園を訪れるカモが水を飲んだり、子供が水に入って遊んだり、橋を渡ったりして楽しめます。

流れのヘリはなめらかな曲線を描くため、座って休むにも最適なデザインです。

 

 

この水路の全体像も楕円形で流れるような美しさの上、描く曲線、曲面の断面、表面の襞や凸凹のデザインがあまりに美しく、水が流れておらずに形を眺めているだけでも美しい程です。

 


さらに水が流れると、水音や流れる様があまりにも美しく爽快なため、通常のメモリアルとは異なり、

市民に日常的に愛される特別な空間となっています。

夏は水遊びや憩い、冬場は静かに物思いにふけることもできる、非常に人気のある場所です。

 

 

このダイアナ・メモリアル・ファウンテンは、ほとんど形は持たないのに、何か故人のエレガントさ、気さくさといった人柄や、その人生の困難や紆余曲折をも感じさせる、卓越したモニュメントをユニークな形で実現しています。

 

 

小さなモニュメントにすぎないのに、極めて美しく、爽快で、憩い、楽しめる、ランドスケープデザインの最良の特質を全て兼ね備える理想的な環境で、歴史に残るほどのランドスケープデザインの一つとなっています。

 

ぜひロンドンを訪れた際は、体験してみてください。

 

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