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Airbnbしてみました。

今回、デンマークとオランダで、最近何かと話題のAirbnbしてみました。
ステイ先との相性もあるかもしれませんが、思ったよりも快適に過ごせて、非常に面白い体験となりました。


利用する前のイメージでは、Airbnbというのは、イメージではユースホステルや学生のするホームステイの代わりになるようなサービスかな・・・と考えていました。
大人が利用するものではないような気がしていたのです。
今回のヨーロッパ旅行でも、Airbnbがヨーロッパで流行っているという話を聞いたことはあったのですが、利用する気は全くありませんでした。

しかし、秋の紅葉シーズンで混雑していたためか、北欧各国の元々の物価高のためか、一人旅のせいか、
リーズナブルなホテルのシングルルームはどの都市でも満室で非常に確保しにくく、ついにデンマークのホテルの高価さに挫けました。
ちょうど円安のピークのせいもあって、シングルルームだと日本の価格の3〜4倍くらいの印象なのです。
今回は旅行期間も長いため、通常のホテルで旅を続けるのはもう無理だと思い、ついにAirbnbしてみました。
ヨーロッパで普通の家庭に泊まれる、ということにもやはり多少好奇心はありました。

※Airbnbは、宿泊施設を貸し出す個人向けのウェブサービスで、宿泊施設は部屋貸しから建物丸ごとまで、形態も費用も様々です。
https://www.airbnb.jp/



まずは登録からです。
Facebook以上に詳細な個人情報を登録しなければならないことにやや抵抗を覚えながらもなんとか登録して、コペンハーゲンのステイ先に申し込みました。
お互いに詳細な個人情報を公開して、コミュニケーションを取ってみて、お互いに大丈夫か判断するということのようです。
1件目は、部屋は空いていたのに即刻断られました。なぜ???。理由はわかりません。
英語でのコミュニケーション能力が未熟なためもあるかもしれません。
実際に断られることがある、ということにも驚きました。
アジア人だから断られた、ということもあるだろうか・・・と思い、今度はアジア人も多数宿泊しているステイ先に申し込んでみると、すぐにOKの返事がきました。

そして、実際に旅行日が近づいてくると、なんだか不安な気持ちになってきました。
宿泊予定先は、デンマーク人の家庭の一部屋を、Airbnbを通じて貸しているところでした。
そもそも外国でホームステイなどしたことはないし、英語の日常会話もあやしいくらいです。
必要最低限のコミュニケーションができるかどうか、きれいな部屋かどうか、どうやって部屋に入れるのか、カギは閉まるのか、
眠れるのか、水回りはどうなっているのか、家主はどんな人か等、心配は尽きません。
写真だけではさっぱり様子がわかりません。
まあとにかく申し込んでしまったし、ホテルはあまりにも高価だし、腹をくくって行ってみようと思って、出発しました。

到着すると、午後4時過ぎのコペンハーゲンはもう夕暮れの気配です。
しかも街は滞在中ずっと曇りと霧に包まれて、暗くうっそうとした雰囲気でした。

宿泊先は、都心部から少しはずれた住宅街の中で、街は照明がついてもかなり暗い雰囲気です。
歩いている人もあまりいません。
初めてのコペンハーゲンは、ちょっと怖いくらいです。



家主からのメールの連絡で、到着したらアパートの隣人からカギをもらって入るように聞いていました。
平日なので、家主は当然仕事に行っているようです。

アパートメントはレンガ造りのクラシックな雰囲気の建物で、内部の階段は木造でギシギシ音を立てています。



なんとか部屋を見つけ、カギをもらい、真っ暗なアパートメントに入り込みました。
wifiが通じるまでは家主と連絡の取りようもない状態だったので、たどり着けるかドキドキしました。

電気をつけてみると・・・意外なことになかなか良い雰囲気。
照明が非常に印象的です。



アパートメントの間取りは1LD+Kです。
ベッドルームは貸して、家主はリビングのソファで寝ているそうです。

それにしてもベッドルームが素敵です。
部屋の隅ごとにスタンドライトが置いてあるのですが、天井近くまである大きな鏡が2つも部屋の中に置いてあるため、照明が映り込んで素敵さを大幅に増しています。
床や家具は全て無垢のパイン材でできていて、オイルを塗った程度の素材感あふれる仕上げです。
全体がパイン材の質感と真っ白な塗り壁でまとめられた部屋は、イメージ通りの素敵な北欧らしいインテリアでした。
北欧を特集したインテリア雑誌から出てきたような部屋です。



これでインテリアやデザイン関係者の部屋ではないというので驚きです。
デンマークでは、普通の人がこのようなインテリアで暮らしているようです。

キッチンも素敵です。



カウンターにはいろいろなものが置いてあるのですが、不快なものが一つもなく、これで生活しているのか疑問なくらいの美しさです。
器や小物の一つ一つにこだわりが見られ、相当なインテリア上級者の印象です。



なんだか雑誌に載せられそうなアパートメントです。

窓の外は、隣のアパートの部屋が丸見えです。
ここではあまり室内が見えても気にしないようです。
せっかく生活の様子が見えるので見渡してみると、どこも似たような良い雰囲気の部屋ばかりです。
普通の人々のインテリアの基本レベルがあまりにも高い!
どの家も特に照明が素敵で、窓際には必ずスタンドライトが置いてあり、キラキラと輝いています。
何か、望ましいインテリアの国民的な合意のようなものが、自然と存在するかのようです。
イタリアとはまるで異なる雰囲気で、北欧恐るべしです。
北欧を旅していると、あまりの夜の長さと昼の暗さと寒さに、あたたかで素敵な照明やインテリアの必要性を痛感します。



夜の12時ころになって、ようやく家主が仕事から帰ってきました。
非常に穏やかそうな同年代(?)の男性で、福祉関係の仕事をしているとのこと。
一人暮らしで昼も夜も仕事があるということで、普段あまりに家にはいない様です。
休みがあると、各国のAirbnbで旅をしているそうです。
優しそうな人で、ようやく安心できました。

ベッドルームにカギはないのですが、家主の人柄がわかったら何とか安心して眠れました。
その後家主は夜勤等もあってほとんど家におらず、ほとんど会わず仕舞いで、良くも悪くもそんなに気を遣わずに済みました。
ほとんど自分の家状態です。
よくこれほど自分の家をオープンにできるな・・・とも思います。

写真はリビング・ダイニング。
シンプルながら、素晴らしく居心地の良さそうな雰囲気です。
窓・家具・床・照明の素材とデザインが良いだけで、これほど素敵な部屋になるというのが不思議です。



さて、部屋はあまりにも素敵なのですが、しかし水回りは・・なんとトイレのみです。
シャワーはどこで浴びるのか家中を見渡してみると、どこにもありません。
はて?と思ってトイレに戻ってみると、なんと便器の上方にシャワーノズルがついています。
ここで浴びるのか・・・?どうやって?
特に広いトイレというわけでもなく、日本の一般家庭のような1畳もないトイレ空間の壁に、
ぽつんとシャワーノズルがくっついているのです。
どう考えても水は便器にダイレクトにかかってしまいます。
ちょっと迷ったので、1日目はシャワーを見送りました。
家主が使う様子を教えてもらって、ようやく2日目から使い方を覚えました。
何事も為せばなんとか成るものですね。

古い建物なので建物も部屋も非常に素敵なのですが、やはり水まわりの更新ができないのと
エレベーターがつけられないのは、ヨーロッパ各国事情は同様なようです。



Airbnbでは、やはり旅先の地元の普通の生活が体験できることが非常に興味深いです。
宿泊先があるのは、そもそも立地がホテルが建っているような商業地とは違い普通の住宅地のため、周囲は地元の人たちの行くカフェやパン屋やスーパーばかりで、観光地とはまるで違います。
私がいつも海外旅行先で見たいと思っているのは、まさに普通の人々の毎日の暮らしぶりなので、これは願ってもないことでした。
住宅地を外から眺めることはいくらでもできるのですが、そこに住んでみることは友達でもいない限り滅多にできることではありません。
非常に面白い経験な上、全く異なる生活を送ってみることは、設計者としても非常に参考になります。



またコペンハーゲンに来る機会があれば、泊めてもらいたいものです。
Airbnbでこんな宿泊先ばかりなら、いくらでも各国で泊まり歩きたい!
と思っていましたが、次のオランダではまたちょっと違う雰囲気でした。次回に続きます・・・。



 

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